ちょっと前ですが、中国人技能実習生が体調不良に苦しんでいました。ある日企業から連絡があり、最近会社を休んでいるのでどうしたのか知りたい。とのことでした。「どうしたのか知りたい」ってwあんた受入企業の生活指導員だろ?2週間前に訪問した時はピンピンしていたし、どうしてかはこっちが聞きたいわ。
彼女は日本語レベルが低いながらも、自力で町医者に2回行きました。それでも体調不良が治らず欠勤が続いているというので、私が大病院に引率しました。精密検査の結果は白。異常がないので、おそらく生活環境の変化、ストレス、日々の不摂生が原因とのことでした。
会社に報告したところ、あと1日でも休んだらクビにするとのこと。現場の気持ちは十分わかります。これだけ長期に渡って休んでしまったら、「パートと派遣と実習生は使い捨て」という考えの企業ですから、即刻叩き出されてもおかしくありません。
でも、その前に。
この企業は実習生と対話していないんですよね。
彼女が休みまくっているという事実しか捉えない。体調を崩す前は勤務態度も良く、仕事の評価も高かったのです。休み始めた時に理由や体調を聞いたりしていないんですよね。で、どうして休んでいるのか?なんてマヌケな質問を私にするわけです。知らんがなw
解雇するのは結構だが、その前にやることがたくさんあるでしょう。
- 体調の確認。
- モチベーションの確認。
- 3年の実習を終えて帰国したいのか。
- もう帰りたいのか。
普段からコミュニケーションを取らない技能実習生に問題があるのは事実です。しかし、企業からも歩み寄る努力も必要です。仕事以外の日常生活に関する指示まで私を介して行うのがどうしても理解できません。私が巡回に行った時に指示されるのは一向に構いません。しかし、休日にまで私の携帯に電話をかけてきて、
「空き缶と瓶をきちんと分別していない人がいた。名前はわからないけどさ。注意しといて」
「こんど部屋を片付けておくように言っといて」
「工場周辺の草むしりをするように伝えて」
よくあることでしょう。こんなの当たり前だよと思われる監理団体の方もいらっしゃるでしょう。しかし、こういう企業に限ってろくすっぽ実習生の面倒を見ない。働かせるだけ働かせて生活、プライベートは全部監理団体に丸投げ。企業の生活指導員なんて名ばかり。
これじゃあイカンと思うんですよ。
「言葉が通じにくいという現実はありますけれども、かと言って些末な用事すら直接伝えないのはどうでしょうか?面倒くさい、誤解されたらと心配する気持ちはわかりますが、これでは企業と彼女たちとのコミュニケーションが生まれませんよ。おっしゃる程度の指示でしたら彼女たちだってわかります。細かいことというか、簡単なことでさえ私に通訳させていたら日本語を身につける必要性も感じませんし、いちいち私を通じてしか話をしないのであれば、彼女たちは疎外感を感じるのではないでしょうか?」
はあ・・・という生返事しかありませんでした。ただ、この言葉の裏には監理費払ってんだからグタグタ言うなってことでしょうね。
何度もこのブログで書いていますけど、技能実習生に限らず、外国人を一定数以上雇用していればトラブルは必ず起きます。それも、日本人が起こさないようなトラブル。我々の常識が及ばないような事を起こします。この企業としては、トラブルを避けるために技能実習生と距離を置いているつもりでしょうが、大なり小なりトラブルを経験して強くなっていくものです。
受け入れ1年目、2年目では大したトラブルは起こりません。3年目以降に起こることが多いです。受け入れ2年生の企業さんはちょっとしたトラブルにもビクビクしていましたが、トラブルを解決していくうちに強くなって行きました。もちろん、私はトラブルを推奨しているわけではありませんよ!長く受け入れていれば、人間ですし、なにせ外国人なんですから必ずトラブルは起こります。その時は毅然として対処できるよう、常日頃小さな不満(残業させろ、夜勤に回せ、水道光熱費が安い)などなどのいわゆる彼らの「ダメ元的な主張」です。ダメ元で言ってきたら、ニコニコしながら「考えておく」などと言わないこと。
実習生とのトラブル回避術!外国人技能実習生と採用時に実習生活での約束事を決めておけ!
入国前の約束をもう一度伝えることです。条件を全て呑んで日本で実習しているのに、それを忘れたかのごとく騒ぐのは絶対に許さないと。