外国人技能実習生を受け入れていると、
「1期生の日本語は上手だったけど、2期、3期、4期生…となるに従って日本語が下手になっていく」
企業のご担当者様から、よく頂くお言葉です。
確かにそうです。1期生は緊張感が違います。先輩がいない、日本人から日本語で仕事を教えてもらうしかありません。日本人職員にとっても、初めての外国人技能実習生ということで緊張感をもっております。しっかり伝えようという意識が非常に高く、仕事以外の時間も実習生たちと接しようとしてくれます。
ところが、2期生以降になると、先輩に仕事を教えてもらい、どこで買い物をすれば良いのかなど、自分で開拓する必要がありません。生活の基盤、仕事の基盤が整った状態を引き継ぐだけです。
日本語が出来なくても実習ができていれば良い状態になっていきます。
現場の方もその状態に甘んじてしまう。
しかし、人事の異動などで、長年実習生に携わってきた現場の方が他へ異動し、後任者が実習生の現場にやってくると違和感を覚えるのです。
「どうしてこの人達(外国人技能実習生)は日本語を話せないのに仕事しているのだろう」
「言葉がほとんど通じない人間と仕事をするのが苦痛」
「指示が伝わらない」
後任者は困惑するわけです。
監理団体である組合に対しては、「実習生の日本語レベルが低すぎる!なんとかしてくれ!」とクレームが入ります。
普段、日本語の宿題を課していても全員がきちんと勉強をしているわけでもないし、やる気のある人達ばかりではありません。
「誰か一人、通訳に慣れる人がいればいいんだけど」
と、企業の方から言われることがあります。
通訳となれる人材を育てるには?
特定の外国人技能実習生に集中的に話しかける、指示をする。通訳として抜擢する。
これです。
4人の外国人技能実習生を同時期に受け入れたとします。この中で日本語が上達するのは大抵1名です。1名でれば良い方です。学生時代、新入社員時代を思い起こしてください。日本人でも、教師や上司の話を聴いて理解できていない人たちは、理解できた人達に聞きますよね。外国人技能実習生たちも同じです。自分より少しでも日本語ができる同僚、理解力がある同僚に必ず聞き直します。
「ねえ、さっき先生はなんて言っていたの?」
小中高生の頃、必ずいましたよね^^;
技能実習生の母国内での研修、日本での配属前講習などで、理解力がありそうで日本語に対してやる気のある人が必ず一人はいます。いなかったとしても、他よりも少しでもマシな人材を一人選択しましょう。
彼に対して仕事の指示や、生活面での指示をきっちりおこないます。
4人全員に話しても緊張感が4分の1になります。誰かが聴いてくれているだろうという気分です。
しかし、一人にのみ伝えることによって一気に緊張感が高まります。
- 寮の掃除の仕方
- 寮のルール
- ゴミの分類の仕方
みんなに伝えなければならないプレッシャーが、傾聴姿勢を作ります。彼の日本語がもう少し上達したら、仕事の指示も彼だけに行うようにする。
他の実習生たちが彼に頼ってしまうのがデメリットであることは十分承知しております。
しかし、一人でも良いから日本語ができる実習生がいればどれだけ安心できるでしょうか。
日本語が上達し、企業からも監理団体からも頼れる人材になったら、気持ち程度でいいので金一封を渡せれば、彼はもっと頑張るでしょうし、他の実習生に対しても刺激になります。
使命感、責任感を刺激することが大事です。
監理団体、企業の負担を軽くするためにも、通訳役となれる人材を一人育てましょう