傘下の実習実施者に対する監査を適切に行っておらず、監理事業の適正な運営を確保するために必要があると認められることから、技能実習法第36条第1項に規定する改善命令を行う必要があると認められたため。
怖いですよね。改善命令やら認定取り消し。
毎月、厚生労働省の報道資料「技能実習法に基づく行政処分等を行いました」のページを開いております。
監理団体の許可が取り消された監理団体が1社。
技能実習計画の認定の取消しをされた実習実施者が21社。
毎月10社以上の実習実施者が認定を取り消されております。
「気を抜いたら即持っていかれる」それくらいの気構えで仕事をしていないと、非常に危険な状況です。実際に私どもの組合監理下の実習実施者において、受けた改善勧告、改善指導の内容を紹介していきます。身内の恥を晒すようですが、監理団体、実習実施者は、対岸の火事とせず参考にしていただければ幸いです。
改善勧告
1.技能実習生の賃金を月給制から時給制に勝手に変更していた
建設の実習実施者でした。「この当時は、現在のように建設の実習実施者は月給制を義務付けられていませんでした」しかし、実習生本人に断りもなく勝手に月給制から時給制に変更してしまったこと。また、監理団体にもその旨伝えておりませんでした。
その企業の技能実習生が失踪したため、臨時監査を行い報告したところ、すぐに外国人技能実習機構が同社を検査。その際、明らかになりました。
その企業は根掘り葉掘り聞かれたようで、社長がうちの担当者にグチグチと泣き言をこぼしていたようですが、もう後の祭りでした。
注意点:
技能実習生の賃金体系を変更する場合は、必ず事前に本人と監理団体に伝える。彼らの了承を得ること。監理団体は、定期監査で賃金台帳や雇用条件を確認すること。
2.賃金の未払い
これはあるあるですね。監査のたびに未払い分を指摘し遡及して支払わせる。機構に報告する。その繰り返し。外国人技能実習機構の定期監査がやってきて、また指摘される…。で、改善勧告を受けました。うちの組合は無傷でしたが…。この手の会社とのお付き合いは辞めました。
注意点:
企業としては、税理士さんに賃金計算してもらうこと。監理団体は賃金の計算を厳しくするように。
3.技能実習指導員が変更されたのに監理団体に報告していなかった
食品加工。変更したことを監理団体に伝えておりませんでした。技能実習指導員が配置転換で別の部署に異動したにも関わらず、技能実習指導員として登録されたまま。現場では別の人物が指導をしていました。
注意点:
変更の際は、必ず監理団体に報告し軽微変更届けを提出すること。監理団体は定期監査のたびに技能実習指導員、生活指導員、技能実習責任者に変更がないか確認すること。
4.技能実習指導員が少なすぎる
建設企業。技能実習生が4人在籍。現場が複数あり、実習生たちが散り散りになって実習するので指導員1名では少ないと指摘を受け改善勧告。これはかなり厳しいです…。
注意点:
企業は指導員一人で良いと思っている節があるので、監理団体は定期監査の際、現場の数を確認し適正な人数の技能実習指導員を配置するよう指導すること。
5.36協定の特別条項を超えて残業をしていた
月あたり80時間未満の特別条項。年に6回まで可能ですが、7回以上させてしまった。
注意点:
労務管理を徹底して行い、未然に防ぐこと。これにつきます。
監理団体の定期監査は3月に一度です。そのとき初めて気づくんですよね。それでは遅すぎます。定期監査の際、3回以上行っている場合、企業に注意喚起してください。あとは企業次第です。
6.実習生の一月の残業時間が100時間を超えていた
常日頃注意するしかありません。
注意点:
労務管理の徹底。監理団体は即報告を。
長すぎるとあまり読まれないので、続きはまた書きます。