かなりざっくりですが、監理団体に対する改善命令処分と許可取り消し処分の理由ごとの件数を出してみました。
現行制度が施行されてからの件数です。2017年11月から2023年3月まで。
改善命令処分の理由
監理団体に対する改善命令(第36条)
全部で27件あり、そのうち「不適切な監査」絡みが17件。63%です。
「不適切な監査」に加えて、虚偽の監査報告書を提出したり、計画作成指導者の不適切な内容など複数の内容を抱えているのが4件ありました。
監理団体の仕事は多岐にわたりますが、その中でも特に監査は「肝」の部分です。
軽い違反に対して目をつぶったり、上司にちょっとした嘘の報告をしたり、あるいは隠蔽したり。その手の小さな「芽」は、植物と同じようにどんどん成長していきます。
「前回の監査では見逃してくれたんだから。今回も見逃せ」
と言われ、技能実習実施者の言われるがまま隠蔽。
隠蔽はもとより、隠蔽期間が長くなればなるほど、罪が重くなってきます。
許可取り消し処分
許可の取消し(第37条)
不適切な監査絡みでの違反は43件中13件ありました。
割合としては30%です。
許可を取り消されるほど、不適切な監査をしてきたということは、改善命令を受けてからも適正な監査を行わず、挙句の果てに監理団体の許可を取り消された…。改善命令を受けたあと、取り消し処分を受けた組合もありました。
監査不適切は処分理由として「軽い」というわけではありませんが、他の処分理由を見ると、監査不適切どころではない、犯罪の匂いがしますね。
偽造文書。
違約金。
名義貸し監理。
旅券預かり。
入管法違反。
名義貸しは、実習実施者が遠方にあり、その近くに住んでいる人に監理業務をやらせたケースかなと予想します。いや、私なんぞが思いつかないほどもっとあくどい理由かもしれません。
旅券預かりは、技能実習、いや技能実習制度の前身である研修制度の頃に見られた人権侵害です。未だにやっている企業や団体があることに驚いちゃいます。
入管法違反は様々でしょう。入管へ虚偽の申請をしたり、技人国の人間を現場で働かせたりとか。色々あるでしょう。
多数の違反は犯罪商社と言って良いほど多いです。
どれも大事なことです。
しかし、まずは監査を徹底的に行い、監査報告書を実施日から2か月以内に機構へ提出していくことが大切ですね。