底辺業界のビルメンテナンス(ビルクリーニング作業)が実習生事業にもやってきた

来ましたね。

ビルメンテナンス協会の肝いりの「ビルクリーニング作業」として、新職種として発進しました。文字通りビルクリーニングです。技能検定基礎2級相当の実技試験が設定されれば、受け入れは可能とはいえ…物作りではないんですよね。今までクリーニング屋さんの1年実習生(研修生)で受け入れたことはありましたが、ビルクリーニングはありません。

新職種「ビルクリーニング作業」

「新職種」ということですが、この話が出始めたのがおよそ二年前。ビルメンテナンス協会や一般社団法人のエリアマネジメント協会が中心となり、特定の監理団体、特定のベトナムの派遣機関を使っての受け入れ話の集会が開かれていました。新職種のブルーオーシャン、先行者利益に与ろうと多くの組合が受け入れに対して積極的でした。

ただ…業界全般的に給与が低いっ!

ビルメンテナンス業界自体がそもそも低賃金であることと、労働時間も不安定なんですよね。ビルメンテナンス系の企業さんを数社周りましたが…上役たちのお給与も非常に安いんです。あくまで口頭での話でしたが、

「才谷さん…ビルメンテナンス系はねえ。本当に給与が低いのよ。日本人だっていくらももらっていない。最低賃金に毛が生えた程度のお給与だ。我々だっていっちょ前に「~長」なんて付いているけど…給与激安だよ」

労働時間が不規則

おまけに、ビルクリーニングと言っても午前9時~午後5時の仕事ではありません。例えば午前中Aビルの清掃を終え、Bビルの清掃を開始するとします。AビルからBビルが遠いと、移動時間がかかります。「移動時間は労働時間に含まない」企業もあるので、建築実習生同様に賃金トラブルが起こりそうな予感です。

しかも、仕事が午前中、午後だけということも少なからずあり時間を持て余しお金も稼げない。ヘタすると日給3000円なんて日も…。

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低賃金にあえぐビルメンテナンス業界

ビルクリーニングもビルメンテナンスのうちです。底辺と言われるビルメンテナンスは、清掃のみでなく電気・空調・給排水などの設備管理、警備業務、建物の保全業務、書類作成などの雑多な業務があります。リーマン・ショック前まではそこまで低賃金ではなかったようですが、不況の煽りを受けビルのオーナーがビルメンテナンス会社にコストダウンを迫ったためです。更にテナントの賃料値下げ、不動産の入居率の低迷…価格競争の激化。これらが重なって労働者の賃金にも響きました。

「従業員が定着しない⇒外国人技能実習生どうよ?」

って流れでしょう。

 

そもそも家族を養えない程の低賃金

ビルメンテナンス系の仕事では給与が安いため、独身者で持ち家の人を採用することが多いようです。また、交通費のかからない近場に居住している人。

日本人なら様々な雑務をこなせるため、社員として丸一日勤務ができそうですが…ビルクリーニングのみだと一日働くことすら難しそうです。掃除だけですからね。何しろ。

実習生からいろんな声が上がりそうです。

「残業させろよ!」
「日給が5000円いかないぞ!」

空き時間で副業しそうだし、低賃金のため失踪の可能性も高いし、手取り額が少なくなると技能実習生同士の関係もギクシャクしがちで喧嘩などのトラブルに発展することが多々あります。

小規模のビルメンテ企業は避けた方が良さそうです。

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ビルクリーニング受け入れの特徴

  1. 監理団体、派遣機関の調整役として一般社団法人エリアマネジメント協会が存在している。
  2. この団体を通じて、受け入れを希望する企業に監理団体や派遣機関を紹介する。
  3. ビルメンテ協会としては、エリアマネジメント協会を通じて受け入れを行ってほしいとの意向を示している。
  4. 現状、メイン送り出し国はベトナム!

ベトナムでは事前研修として日本語だけでなくビルクリーニングの実技訓練も行っています。日本の機材を使用しての研修とのことで相当気合が入っていますね。ベトナムヴィンフック省の地方政府とベトナムのビルメンテ協会が旗振り役として、技能実習生の派遣に力を入れています。

今はベトナムが中心(講習会ではベトナム限定?のようなムードでした^^;)とのことですが、モンゴルやミャンマーなどその他の国々からの派遣も視野に入れているそうです。

入国後の1ヶ月間の配属前研修も場所が特定されていて、琵琶湖のクリーニング研修センターで行う予定です。関東にも設置予定とのことでした。関東で受け入れなのにわざわざ琵琶湖で研修させていたら交通費も馬鹿になりませんよね。

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http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000119099.pdf

ビルクリーニング作業の結果そのものが製品であ~るっ!

ビルメンテの企業さんが多数参加しておりました。安くて安定した労働力を確保するためと完全に割りきった考え方なので、技能実習生の建前論的な趣旨すらわきまえていない感じでしたね。それだけ切羽詰まった企業と監理団体の集まりだったのかもしれません。エリアマネジメント協会が囲い込めるのも、ビルクリーニング職種がスタートして3年くらいでしょうね。あとは各監理団体がそれぞれ営業していく…流れでしょう。

とはいえ、上述したように賃金も低いし、エリアマネジメント協会に尻尾フリフリまでして食い込む意志はないですね。既存の手堅い業種「モノ作り」でコツコツ受け入れ企業を拡大していきます。

コツコツ監理して受け入れ企業さんから信頼を得る⇒受入企業のご紹介を受ける。
組合として自力の営業を地味に行っていく。

この手法が一番かな。

 
seihinなるほど…こういう解釈か!

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