島から逃げていく技能実習生を扱った記事が載っていました。
withnewsなのにどうも朝日臭さそうな記事かと思ったら、新聞記者は朝日の記者でした。
技能実習生たちが離島から次々と脱走して、内地で時給の良い場所で就職しようとのことですが、よりにも寄って7年前の話を蒸し返しですか…。どうせなら今年あるいは昨年の話をしてくだされば良かったのに。
小説もどきの記事で内容はスカスカでしたが、実習生を知らない人にとっては新鮮に映るでしょうし、「搾取側」の嘆きを取り扱ったという点では一風変わった記事かもしれません。
ただ、突っ込みどころが多く違和感のある記事でした。
当時の東京の最低賃金は821円。鹿児島県は735円だった。
平成22年の最低賃金ですね。この当時は東京821円、鹿児島県は642円ですよ…。今でも東京と鹿児島は200円近い差があるのに、どうしてわざと間違えたのでしょうか。ちょっとでも時給が安いとすぐに逃げてしまうよ!ということをいいたのかもしれませんね・・・。
- 逃げる実習生が悪い。
- 搾取する経営者が悪い。
- 実習制度のあり方を問う。
という問題で終わらせるのではなく、地方、それも離島で最低賃金が低い過疎地域の産業が抱える大問題として扱うべきだと思います。戦前から戦後の話にもあるとおり、日本人だってみんな出稼ぎに行っていた時代です。
技能実習生だってせっかく日本に来たのだからわざわざ過疎地で働くよりも、異国を感じられる人混み、曲がりなりにも先進国と言われる日本の都市部で働きたいはずでしょう。
稼げないところでもいいからとにかく日本に来る。
日本の生活に慣れ、ネットを通じてコネクションを作ってから失踪。再就職。
良い場所で働けたらいいのでしょうが、騙されたり危険な目に遭うリスクの方が遥かに高いです。
酷な言い方をしますが、外国人技能実習生がいないと成り立たない企業なんて存在意義があるのかと不思議に思います。外国人がいないと存続できない大学、専門学校、私立高校しかりです。
花農園を経営されている方がそうだとは言いません。
しかし、このような困っ他経営者を助けるフリをして金をせしめる輩がいることを忘れてはいけません。
人手不足の個人経営者に実習生の斡旋をするブローカーまがいの悪徳監理団体です。実習生を入国させたら、成功報酬として派遣機関からバックマージンを貰ってる輩がどれだけいるか。入国→失踪→また入国させる…。この繰り返しです。もっと悪どいのは受け入れ企業も派遣機関からバックマージンをもらっているケースです。
派遣機関も損をしたくないので、技能実習生から高額手数料を巻き上げる。
私が過去担当した企業も従業員は奥さんだけ。他は技能実習生なんて店もありました。企業としての体力がなさすぎるのですぐに受け入れを辞めさせましたけど。失踪、途中帰国でずいぶん悩まされました。
受け入れの要望を受けてもこちらは拒否。
その前に倒産した企業もいくつかありましたね。
地方で離島で、超零細企業、個人事業主のところに技能実習生を入れても失敗するのは目に見えています。この記事では、
「だからこそ、新しい制度では逃亡をもっと厳しい罰則にしてほしい。実習生も、逃げ通せば、稼げるんだよね? それでまた、逃げた実習生を働かせて、もうけている人がいるんでしょ。これじゃ、永良部は日本への入り口ってことで利用されてるだけだ」
入り口に利用されているってことがわかっているのであれば…受け入れさせないのが機構なり入管の仕事です。逃亡の罰則を強化したところで何の意味もありません。だって逃亡したって見つけるのは困難ですし、在留期間があれば逮捕はできません。罰則云々よりもこの手の企業には受け入れをさせないことが肝心です。