ここ半年、外国人技能実習機構の実習実施者への検査で特徴的な指摘が一つあります。
それは技能実習生の残業時間です。
技能実習生は多かれ少なかれ残業をします。企業によって違うものの、36協定や変形労働制を結んでおります。特別条項の1ヶ月あたりの上限は60~100時間とまちまちです。うちの組合の傘下企業の多くは80時間です。
A社の例
- 特別条項の1ヶ月の上限は70時間。
- 技能実習生の残業時間は45時間(42時間)から70時間未満に抑えてある。
- 時間外労働を45時間以上70時間未満である月は4ヶ月。
- 60時間に達した月はなく、50時間前後の月が3回、50時間台の月が1回
この会社は技能実習生を12人受け入れており、全員協定を違反すること無く残業を抑えておりました。
ところが、この企業に対して「技能実習生の残業が多すぎる」とのことで改善指導を受けました。
勧告ではないので大慌てする必要もないと言えばそれまでですけど…いや、やはり気分の悪いものです。
他の組合の方に聞いたところ、3件ほど同じ事象がありました。36協定の範囲内で残業させているのに、同じく「残業が多すぎる」という理由で改善指導を受けたと。
50時間以上なら、60時間なら多すぎるのか?3ヶ月連続続いたらだめなのか?
判断基準が全くわかりません。これまた例によって外国人技能実習機構の検査員次第ということでしょう。
ただ一つ言えるのは、機構が技能実習生の残業時間に着目していること。対策として、慢性的に技能実習生に45時間以上80時間以上の残業をやらせないこと。60時間台を3ヶ月連続とかは避けたいですね。
監理団体としても注意が必要です。36協定の範囲内であろうと、監査時に残業が多いと思ったら、注意したほうがよいですね。もちろん、監査報告書にもその旨を記載しましょう。
それと、たとえ企業の特別条項が100時間、90時間となっていても、技能実習生にひと月あたり80時間以上の残業をさせるのは認められませんのでご注意ください。