不法滞在者が実習実施機関(企業)に在籍していたこと

 

不法就労者の雇用…。

以前、組合傘下の企業さんで不法就労者を雇用していました。もちろん、企業さんは彼らが不法就労者とは知りませんでした。

実習生の受け入れを10年以上行ってきた企業なので、実習生制度を知り尽くしていますし、やっていいことと悪いこともきちんと把握しています。

国名は控えますが…まあ東南アジアの某国の方なんですけどね。
外国人が入社した場合は採用面接時に在留カードを確認、カードの写しを組合まで送ってもらって入国管理局にも送付しておりました。

 

その方の在留カードの写しをいただき、内容をチェック。
在留期限も問題ないし、パスポートの写しと照合して名前、生年月日等の間違いが無いかをチェック。こちらでできるのはこの程度ですよね。在留期限が過ぎていなければ入管へ写しを送付。

いつもの流れ作業で終わったと思い全く気に留めていませんでした。
入管へ送付後数週間経った頃でしょうか。
入管からTELあり。

「先日送ってもらった資料…偽造の在留カードでしたけど?」

はい…?

もう一度写しをよく見てみても全くわかりません。どこが偽造なのか。

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我が組合は大騒ぎ。
すぐに担当が件の企業へと向かい某国職員と面談。入管が自分でやればいいのにどうして監理団体の職員が行くのよ…。おまけにこの人は実習生でもないのに。うちのスタッフが対応しましたが、あちらさんは英語もできず日本語もおぼつかないため非常に時間を要しました。

「…こんな人雇っちゃイカンだろ」

と、喉まで上がってきましたがぐっと我慢して来日した理由を再確認。
よくわかりませんでしたが、何らかのビザで日本にやってきてその後日本へ亡命したようです。入管にインタビュー内容を報告しましたが数日後、某国の方は失踪。

入管に再確認したところ、どうやらこの方他人名義のパスポートと在留カードを所持していたようです。本当の名前はわからないとのことでした。わけが分からないのので、もう一度聞いてみると。

「彼が現在所持しているパスポートと在留カードの写真以外の情報は、他人のものなのです」

え・・・?

そんなことできるんですかね?闇社会の人間にお願いして…要はなりすましってことですか!こんなのわかるワケないじゃないですか!うちとしても「この件についてどのように対応したのか」と「在留カードの虚偽なんて見破れるわけがないじゃないか!」に関して1枚紙で提出。企業さんは彼を雇用した経緯など随分とレポートを書かされていました。

結局、当時はうちの組合は口頭注意。企業は厳重注意処分でした。

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企業さんに関しては被害者ですよ。うちにとってはとばっちりも良いところ。

それより何より、入管がすぐに踏み込んでこない上にみすみす失踪させてしまったのは入管の怠慢ですよ!誰が入管に鉄槌を下してくれるんでしょうか?上部機関の法務省のはずですが、きちんとやってくれるのかな?担当職員の減俸処分とか…。

自分は全面に出ていなかった案件なので細かい対応についてはおぼろげですが、こんな事ってあるんです!うちも企業も大したペナルティを受けなかったのは、受入企業が外国人を雇用する度にパスポートと在留カードの写しをきちんと入管へ送っていたからだと思います。この企業は今でこそ問題ありませんが、実習生黎明期の頃はやんちゃなことをしていたので…外国人の在留カードの写しを送るようになったのです。

他の企業さんにおいても、外国人を雇用しているところはあります。
しかし、すべての企業に対して外国人労働者の身分証の写しをお願いしているわけではありません。何せ手間ですからね。ただ、外国人労働者を多く雇用している企業は実施した方が良いと思います。

溶接、機械加工は外国人部隊が随分いますから。特に溶接工は外国人ばかりです。
お互い気をつけて行きましょう!

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