実習生同士のケンカネタをこれまで幾つか書いてきましたが、彼らのケンカというのは日本人とは全く違います。
- 刃物とビール瓶で激突!実習生の喧嘩は基本的に凶器使用が基本です
- 実習生の賭博!賭博が蔓延していると帰国時に揉める!
- 中国人技能実習生同士が喧嘩っ!仲裁に入るっ!
- 実習生同士がケンカっ!仲裁は難しいのかな
日本人だってケンカがエスカレートして殺人事件となってしまうことはあります。ただ、概ね日本人同士のケンカというのは限度を知っているし、普段一緒に仕事をしている同僚や、友人同士の関係であれば、仮に殴り合いのケンカをしたところで必ず打ち止めします。
しかし、中国人は違います。
- 相手が身動きできなくなるまで。
- 相手に大量出血させるまで。
- 凶器でもなんでも使って傷つけることを厭わない。
- 他人を平気で陥れる。
彼らは喧嘩すると必ず凶器を持ち出します。彼らにその理由を問うと、
「凶器を出して威嚇すれば相手が怯む。怯んでくれればケンカはそれでおしまい」
が、これでケンカが収まることはほぼありません。脅される一方で膝を屈してしまったらずっと彼に対して頭が上がりません。より強力な武器を手にとって脅し返すか。もしくは、いきなり殴り掛かるか。どっちにしろ大怪我は免れません。
「うちに秘めた凶暴性。怒ると何をするのかわからない」
と、よく言われます。
彼らの行為を野蛮だと切り捨てるのは簡単ですが、彼らが今まで生きてきた中国社会を見るとある程度理解することができます。彼らは両親、子供、親戚を非常に大切にします。中国人、朝鮮人は親孝行だとよく聞きます。これは大変結構なことですし、日本人も見習うべきだと。
しかし、それは裏返しでもあります。他人は絶対に信用しない、他人はどうなったってかまわない。政府は信用できないという考えが根底にあるからなんですね。一人っ子政策で、自分には血縁の兄弟は居ないけれど、物凄く信頼のおける幼馴染み、親友に対しては兄弟、姉妹とまるで実の兄弟のように接しています。そうやって心の底から信頼できる人を作っていかないと、生きていくのが難しい社会なんです。
日本でしたら、親戚同士でも中国のような強固な結びつきはありません。友人関係は中国と比べたら淡いですし、島国ですので他人の目は気になる。他人と波風を立てないように暮らしていく、そのためには礼儀正しくしないといけないし、他人だからと邪険に扱うことは出来ません。じゃないと社会から孤立してしまいますからね。日本人は基本的に他人に対しても程よく親切です。中国人は仲良くなるまで、信頼されるまでが大変なんです。
中国人とどのように接するか
現在日本に滞在中の中国人の半分以上は日本社会に溶け込み、または溶け込もうと努力しているし、社会のルールを守っている方々です。日本に馴染んでいる中国人は基本的に日本人と変わらない社交性を身に着けていますし、友好的で日本人に対してもそれなりに親切です。
日本の大学を卒業した優秀な中国人を雇用しても、独立されてしまう、会社を裏切るなどという話をよく聞きますね。彼らは地位や金を保証してくれるところがあればすぐに転職してしまいます。
基本的に組織の言いなりになって働くのは得意ではありませんし、公の精神がないので自己主張が強く扱いにくい。ただ、非常に優秀な方が多いのも事実です。企業を監理していると、時折中国人正社員を見かけます。中規模以上の企業で、大抵は社長なり専務なりの懐刀として存在しているケースが多いです。新卒採用枠で入社したパターンもありますが、中途採用で中国人を雇用する必要があるとなった場合、会社の上層部の意思が働いていることが多いので、ちょっと特別な存在なんですよね。
企業の上層部の方も懐が深いのか、器が大きいのか、小さなことから大きなことまで懐刀の中国人に丸投げしてしまい、その中国人が仕事における利権をガッチリ手中に収めてしまうケースがよく聞かれます。好きなだけやれと伝え、彼に対するチェックを野放しにしておきながら、
「騙された」
「割りと日本の常識を心得た若者だったと思ったのになあ」
「もう中国人は採用しない!」
「結局オレの言うことを聞いてくれない」
- 独立なり転職なりをされて、会社が開拓した顧客を持っていかれる。
- 仕事をしているフリを装って、実は全然違うことをしていてさっさと起業してしまった。
- 他の日本人従業員の指示を全く聞かない。俺は幹部から採用されたので、一般社員は言うに及ばず、他の幹部や役職者からの意見は一切尊重しない。
- 協調性がない。
- 待遇に対して過度な要求をする。
- 下請けに対してキックバックを強く要望する。
- 実習生のコンパ斡旋!ラブホ提供!不届き者の企業担当者
日本人も彼に対してはっきり注意しないんですよね。これくらいの常識言わなくてもわかる。いずれわかってくれるだろう。はっきり伝えると怒るのではないか。と遠慮している。
対策として
中国人職員を上手くコントロールできる日本人が必要です。とにかく首根っこをつかめる幹部が必要です。特に中国で中国人従業員の管理をされていた方なんて最高ですね。多くの日本人駐在員は中国人に妥協気味でしたが、本腰を入れてアメとムチをうまく使いこなし、コントロール下に置いていた人も複数知っております。私も中国駐在時代にそういった方々と知り合いましたが、中国に派遣された日本人総経理といってもピンからキリまでいました。
ガッツリと抑えられる人材が幹部にいれば大丈夫です。
また、中国人技能実習生に対しても同様です。
- ルールを設けて従わせる。
- ルールや給与以外(給与以外に監理団体の管理費やその他経費が日本人職員よりもかかるため)の待遇を日本人と同様にする。例:日本人の社員旅行や宴会には招待すること。能力や年数によって賃金を上げていく。
- 正しい評価を行いモチベーションを上げていく。
- 日本人社員からも彼らと交流するような機会を作る。
- 変な譲歩をしない。
変な譲歩というのは、
「夜勤、残業をやらせろ」
「日本人と同じ給料にしろ」
「有休を全て消化させろ」
「有休を買い取れ」
と言われた時に、即座にNO!を言い、その理由をきちんと説明して上げることです。決してニコニコしながら「困ったなあ~。でも、みんな(日本人)は有休など滅多に取っていないからダメだと思うよ。一応上に確認してみるけど」などと返答してしまうことです。日本語や日本社会を理解していない彼らは、やったぞ。これで俺たちの要望が通るかもと期待してしまうわけです。
私もついつい彼らの勢いに押されて妥協したこともあります。今思うと青すぎました。彼らの要求は所詮ダメ元です。まずはきっちりと突っぱね、その後理由を丁寧に説明してあげることです。
それが、「相談してみる」などと答えてしまうと、彼らにとってはこちらが譲歩したと受け止めてしまうのです。こちらが一歩引いたとわかるや、一歩二歩と踏み込んできて要求するのが彼らの手段です。日本人とは違うんです。日本人の場合、相手が一歩退いたからこちらも一歩退く。お互い様。ということでしょう。
もし仮に、じゃあ、そんなにうるさく言うのならちょっとくらい残業増やしてやろうかと応じたとしましょう。すると、今度本当に会社として仕事量が減った時に大変です。
「あの時は残業させてくれたのに」
「先輩は残業させてもらったのにどうして俺たちはダメなんだ?」
と、こう来るわけです。また、管理者の感情で中国人技能実習生の残業の多寡を決めるのはもってのほかです。小さいワンマン企業だとよくあるんですよねえ…これ。あいつは生意気だから、気に食わないからという理由です。彼らは言葉こそわかりませんが、この点は非常に敏感に察知します。日本人従業員相手ならしないようなことを彼ら相手にやってしまう経営者にも問題ありです。
現実問題として中国、中国人との付き合いは避けて通れない
外国人技能実習生の受け入れをやるなと言いたくなりますし、才谷はこんなに文句言うなら監理組合辞めろよとお思いでしょう。しかし、私一人が辞めたところで社会に何の変化も生まれませんし、むしろ偉そうですが、私が受入企業を少しでも啓発し、中国人労働者の管理ノウハウを身に着けてくれたほうが、否が応でも迎えざる負えない外国人労働者の流入に対しても柔軟に対応できますし、社会貢献につながると思うのです。移民というと肌の白い人達や中東の人を思い浮かべるかもしれませんが、実際は中国を主体とした東アジア、ベトナムなどが大半になることは間違いありません。
単純労働を担う外国人労働者はどんどん拡大されていきます。そうなった時に中国人労働者に対して免疫が全くない企業がどんな目に合うのか。採用した当初は当然問題ありません。一生懸命働いてくれるし、素直だと思います。中国人は頑張ってくれるから、もっと採用しようとなります。すると、一気に弛緩してきます。勤務態度の悪化、規律違反によるトラブル。もし、ビザ要件が緩和されて、中国の労働者がどんどん日本に入ってきた場合、技能実習生としても採用されない箸にも棒にもかからないような人材がやってくるわけです。
できれば関わりたくないものですが、関わりたくなくても人はやってきます。仕方なく中国人技能実習生を指導している企業担当者もいるでしょう。仕事以外で彼らと接触したくない、トラブルがあっても放置、大きな問題が起きたら監理団体にでもぶん投げるか。という考えではもったいない。
せっかく中国人技能実習生がいるのですから、彼らに向き合って彼らを知る良い機会です。問題の根本、彼らの習性、監理団体が間に入ってトラブル対応するでしょうから、彼がどんな指導をして、どんな説得をして、帰国させる時にはどんな工夫をしているのか。その際、技能実習生がどんな行動をしているか。勉強できるチャンスだと思います。孫子の兵法書にも「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と言われいるように漫然と受け入れるよりも、彼らの習性を学びましょう。
という訳で、中国人にしてもベトナム人にしても受け入れるのであれば、受け入れているのであれば、歴史的な部分から教訓を得られることは少なくないので勉強しておくことが有益ですね。