- ケンカなど日本国内でトラブルを起こした実習生を中途帰国させた。
- 実習意欲を喪失した外国人技能実習生が母国へ帰国。
- 経営不振のためやむなく外国人技能実習生を帰国させた…。
- 病気、身内の不幸で中途帰国。
よくある中途帰国のパターンです。
企業担当者と一緒に空港まで見送り渡航証明書も手に入れ一安心。日本で同僚とケンカばかりしていた実習生をゲートにぶっこんだ時の解放感…安心感。トラブルで迷惑をかけ、更に月々の監理費が減ってしまうものの問題を一つ片付けたことで安堵の吐息を吐いてしまうもの。
しかし…
途中帰国した実習生が再び日本に入国してしまうケースが有るのです！
もう３年ほど前の話ですが…。
来日して２年ちょっとの男性中国人技能実習生がおりました。勤務態度も真面目で日本語もそこそこ話せていました。この企業さんは時給も良く、また残業時間も月４２時間に抑えていましたし、実習生からは一切不満が聞こえてきませんでした。
実習生Aから突然電話があり「もう帰国したい」と…。
事情を聞いてもとにかく帰国したい。もう仕事が嫌になったの一点張り。すぐに彼の元へ行って事情を伺いましたが、部屋はめちゃくちゃ。３DKの民間アパートを３名で借りきっていて、通常中国人実習生は風呂場や厨房、トイレ、浴室等の共有部分は汚しまくるのですが、自分の寝室だけは綺麗にしているものです。しかし、Aさんの寝室はぐちゃぐちゃ。食べかすなどが散乱していて腐臭すら漂っていました。
Aさん自身の体臭もきつく「風呂に入っているの？」と聞いたら「４日間入っていない」との返事が。仕事もサボり家でずっと寝ていて、実習生仲間ともほとんど会話をしていないとのことでした。
同僚の実習生に話を聞きましたが、Aさんは相当塞ぎこんでいるようでした。
- 話をしなくなった。
- 急に暗くなった。
- 週末一緒に出かけようと言っても外出しなくなった。
- 寝てばかり。
- 家族とのチャットを時々する程度。
- 急にだらしなくなり、シャワーにも入らなくなった。
２年と２ヶ月も実習を頑張ったのだから、もうちょっと続けようよと、説得しましたが甲斐なく帰国することに決定しました。空港へ見送る時もぐったりとしていて無気力。搭乗手続きを済ませて荷物検査も通過していきました。
彼が帰国してから４ヶ月が経った頃…某県警から連絡がありました。
話を聞くとAさんが不法就労していた…と。
ええ！？
「●月▲日に帰国したはずです！」
と、伝えましたが間違いなく彼だそうです。
詳細は控えますが、失踪した実習生や不法滞在者が働くような場所で作業をしていたそうです。警察もこの手の人間たちが集まって暮らしていることをある程度把握しており、時々ガサ入れをするそうです。
その網にかかってしまったAさん。
Aさんがどうしてあっさりと再入国できたのか？
「在留カードの在留期間がたっぷり（８ヶ月以上）と残っていたから」
外国人登録証明書を配布していた頃、中国人が一時帰国する場合地方入国管理局で「再入国許可」をもらわなければ、再入国することは不可能でした。しかし、在留カードができてからは、再入国許可を取らなくても再入国が可能になりました。
在留期限が迫っていれば出国審査の時に入国管理局の審査官が穴あけをしてくれるらしいのですが、在留期間が残っている状態ですと、
「また日本に戻りますか？」
と、入国審査官に聞かれます。その時「戻ります」というと、外国人用の出国カードに再入国のチェックを入れて出国するよう言われます。これで再入国可能です。
もう少し稼ぎたかったので彼は再び日本に戻ってきたわけです。在留期間が残っていれば勝手にチケット買って戻るのは自由です。入国管理局さんのミスだと思うんですよね。一度帰国した実習生が簡単にもどってこれるようになってしまった。在留カードを作り行政の業務をスリム化したと思っているようですが…それを逆手に取って少しでも稼ぎたい。犯罪でも何でもいいからとにかく稼いでやる。
こんな実習生を水際で止めることなく入国させてしまう。
監理団体や以前在籍していた企業にはお咎めはありませんでしたが・・・一度帰国した実習生が知らないうちにまた日本にやってきて、不法就労をしているのはなんとも言えない気分の悪さです。
まさか彼が再入国するとは思いませんでした。ちょっとうつ気味でしたからね。
あれは芝居だったのでしょうか…それとも帰国したことを後悔して再び入国しただけなのか。入国してからのことを考えると前者でしょうね。日本にツテがないと就職なんて無理でしょう。
在留期間が３ヶ月以上残っている技能実習生を中途帰国させる場合は…お気をつけ下さい！
