先日、JITCOが主催された「制度見直し議論からみる今後の外国人活用のポイント」のセミナーに参加してきました。外国人技能実習機構の職員も講師として招かれていました。
制度見直しに関するJITCOの見解
結論から書きますと、
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- 最近毎週のように行われている『有識者会議』の報告書については、さほど気に病むことはない。
- 結局は政治家や官僚たちが決めることであり、有識者会議の最終報告案がそのまま国会等を通じて制度になるわけではない。
- 育成技能(仮称)の受け入れが特定産業分野に限定されたら、自動車業界は受け入れができなくなってしまうが、現実的な案ではないので実現しないのではないか。
- なんやかんやいいつつ、現行制度は移行期間も含めて3年は続くので現状の制度をしっかり守るように。
また、特定産業分野に含まれていない業種については、組合さんが企業さんと連携して関連の省庁に陳情してはいかが?とも言っていました。
確かに、それはそれで有効かもしれませんが、JITCOが言う話なのかなぁと思っていたら、案の定質問タイムで問われていました。JITCOも特別何かを知っているわけでなく、公開情報を分析し見解を述べただけです。情報収集と思って聞けばいいものを「どうすればいいんですかぁ!?」「これでいいんですかぁ!?」と、詰め寄られても困ったちゃいますわな…。
外国人技能実習機構職員による検査のポイント
こちらの方が気になりました。監理団体や実習実施者が実際にどのような処分を受けてきたかを紹介されていました。テキストは昨年使ったものだそうなので、既知の方もいると思います。
実習実施者に対する実地検査における問題点
具体的な違反内容
実習生の待遇面
- 私有物収納設備を設置していなかった。
- 消火設備を設置していなかった(消火器の使用期限が過ぎていた)
- 技能実習生を行わせる体制及び事業所の設備
- 技能実習指導員が不足していた(交代制勤務、現場複数)
- 技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員の常勤性がなかった。
- 技能実習に必要な機械、器具を備えていなかった。
- 技能実習生に対する暴力行為があった。
技能実習の目標及び内容の基準
- 実習内容が認定計画に適合していなかった(必須業務が2分の1以上でなかった)。
技能実習責任者の選任
- 過去3年以内に技能実習責任者講習を受講していなかった。
技能実習の計画変更について
下記、軽微変更の提出がなされていなかった。
- 居住費、水道光熱費等の変更。
- 役員、技能実習責任者の変更。
- 宿泊施設の変更。
帳簿類を備え付けていなかった。
認定の取消等の例
- 年次有給休暇を10日以上付与した実習生に対し、基準日から1年以内に5日与えていなかった
- 時間外・休出時間が単月で100時間以上、2ヶ月から6ヶ月平均で80時間を超えていた。
計画に適合しない技能実習…移行対象職種、作業の基準に合う作業をしていなかった(関連・周辺作業のみやらせていた)。 - 賃金、割増賃金の不払い。60時間超の割増分の不払い。割増賃金の算定基礎の参入不足。
監理団体に対する実地検査における問題点
具体的な違反内容
- 帳簿類の備え付けをしていない
- 外部監査人が、外部監査を3ヶ月に1回以上の頻度で行っていなかった。
- 外部監査人が、実習実施者に対する監査に、1年に1回以上同行していなかった。
監理団体の業務の実施に関する基準
- 3ヶ月に一度の頻度で、技能実習の実施状況について実地による確認を行っていなかった。
- 実習実施者の事務所の設備を確認し、帳簿書類を閲覧していなかった。
- 技能実習生の宿泊設備、その他の生活環境を確認していなかった。
※実習実施者に対する検査で法違反を確認した時に、監理団体に対して指摘することがあるもの - 労働関係法令違反等の疑いがあるときなどに監査を行わなかった。
- 第1号団体監理型技能実習で、1月に1回以上の頻度で実地による確認、指導を行っていなかった。
- 監理費表を含む業務運営規定が掲示されていなかった。
※令和5年6月1月から「監理団体の業務の運営に関する規定」のインターネットによる公表が義務化されました。
公表に関するQ&A:
https://www.otit.go.jp/files/user/230925-04.pdf - 技能実習計画の作成時の指導にあたり、宿泊施設を実地に確認していなかった。