謹慎処分をうけた技能実習生に賃金を支払わない企業

問題案件の実例を上げていきます。

謹慎処分を受けた技能実習生に、謹慎期間中賃金を支払わないと言いつけた企業がありました。謹慎処分だから仕方ないと思ってしまう実習生がおりますが、事情によっては謹慎処分期間中も賃金を支払わなければなりません。

実例:宿舎内で女性実習生同士が喧嘩

事情を双方から聞くと実習生Aに瑕疵があり、実習生Bが被害者。Aは自分が悪かったことを認め、謹慎処分を甘んじて受けました。怪我の程度については軽症であり、引っかき傷と痣だけで私生活や仕事には全く影響はありませんでした。

  • Aの謹慎期間は1週間。
  • その間は賃金の支払いはしない。
  • Aはキツイ部署へ当面の間異動する。

これはおかしいと思いました。
社外での出来事であり、会社が謹慎処分を命じる必要があるかということと、謹慎させるにしても賃金は支払うべきと思い確認しました。

社員に謹慎処分を命じる場合、会社に損害を与えているかが焦点となります。

・企業のデータ(顧客リスト等)を外部に売却
・研究内容等を故意に漏洩

などなど。

 

このように会社に大損害を与えた場合、懲戒解雇、あるいは降格処分、減給処分などに加えて謹慎処分が付されます。
罪の重さにもよりますが、データの売却が一度のみであり降格処分、減給処分を受けたにも関わらず、さらに謹慎期間中も賃金を払わないとなると問題になります。

 

「不正行為の再発防止、証拠隠滅の恐れなど緊急かつ合理的な理由がある場合は、自宅待機を命じて労務の受領を拒否したとしても、それは使用者の責めに帰すべからざる事由による履行不能として、賃金支払い義務がない場合もありえます」



3訂版 労務トラブル予防・解決に活かす 菅野労働法

 

上記と比べ実習生Aの場合、そんな重大な過失をしたのかというと…
該当しませんね。企業は、彼女に謹慎を命じたとしても支払の義務が生じます。

技能実習生に対して謹慎処分を命じてしまった手前、謹慎を取り消すのも難しいですが、賃金は支払わなければなりません。この程度で謹慎ってのも行き過ぎですけど。

謹慎処分を技能実習生に命じる企業を時々見かけますが、この重大さに鑑みて実行してください。

もちろん、企業の責任者には謹慎させるにしても必ず賃金を支払うようにするよう厳しく伝えました。結局、その子の謹慎はなし。厳重注意と反省文を書かせ、1週間残業はさせないという話で落ち着きました。

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