結論から言います。
可能です。
わかりやすいように極端な例をあげます。
縫製職種の実習生を受入れていて優良になった企業が、溶接の技能実習生を受け入れる場合でも、拡大された受け入れ枠が適用されます。優良になる前が6名の枠の企業の場合、優良になれば12名になります。
「昔は縫製でしか受け入れたことがないけど…今度は溶接で12名入れたい」
可能なのです。
私は何度も外国人技能実習機構に確認しました。上記のような極端な例を挙げてです。
優良前の職種と、優良後の職種がどんなにかけ離れていたとしても、企業さえ優良になってしまえば、どんな職種でも拡大枠が適用されるのです。
この度の新制度により、旧制度で受け入れていた職種では受け入れられないので、新制度になってからは他の職種で受け入れようと考えている企業もあるかと思います。
実際の話
例えば、機械加工。これは実際に私が担当している企業での出来事です。
マシニングセンタは旧制度では職種として無かったために、フライス盤や旋盤の関連作業としてしか認められていませんでした。現在では多面加工が可能であるマシニングセンタが普及しており、この職種をあらために設けたことは良いことだと思います。
マシニングセンタでの加工がメインなのに、申し訳程度に埃をかぶった普通フライスや普通旋盤を敷地内に置いていた企業さんは決して少なくなかったと思います。
マシニングセンタでの作業があるくらいですから、当然ある程度年齢が上の方であれば、普通旋盤、普通フライスを使えます。また、中国やベトナムでは今だに普通旋盤、普通フライスを仕事で使っている工場があるので、実習生たちもこれらの機械を扱い慣れています。最近中国でもNCが主流になり始めましたが。
基礎2級はもちろん、修練次第で技能検定3級試験の合格も可能です。
ある企業の実習生は3級試験に合格し、この企業はめでたく優良企業として申請する事になりました。よほどヘマがない限り、この企業は間違いなく優良になれるでしょう。
上記の通り、フライスで優良企業になっても、マシニングセンタ職種で拡大枠を利用して受け入れることは可能です。この企業はもともと6名が最大枠でしたが、今回は12名となりました。7月に6名、11月に6名入国させる事になりました。
当然この企業はスネに傷はありません。
宿舎の環境も良い。
日本人従業員と実習生との関係も良い。
日本語検定N2を持った実習生が2名ほどいる。
残業もそこそこある。
トラブルが少ない。
健全な企業です。
当然優良企業が拡大枠を適用してもらうためには、優良監理団体を通じて受け入れなければなりません。優良監理団体として事業を継続していくためには、失踪が多かったり、トラブルばかり起こす企業、コンプライアンスもヘッタクレも無いような企業は監理団体の足を引っ張るだけです。このような企業が現在大勢受け入れていたとしても、2年後には確実にお荷物になります。三下り半を突きつけてさっさとおさらばしましょう。
平成29年11月から平成32年10月までは緩和措置が取られるので、実技試験3級合格者数で、優良企業の条件に加算されますが、平成32年11月1日以降は緩和措置がなくなり、実技試験3級合格者率になります。その為、企業は今のうちに合格者数を輩出しておかねばなりませんし、監理団体はコンスタントに合格者を輩出する企業と付き合っていかないと優良のブランドは保てません。