前回記事の続きです。
左翼人権ジャーナリスト巣内尚子氏による斉藤准教授のインタビュー記事中編です。
神戸大の斉藤准教授に聞く実習生問題【中編】制度のゆがみが「失踪」生む、低賃金に重労働・外部と接触禁止
- 高額な借金を背負って来日。
- 来日後は酪農家で激務。
- 割増賃金なし、賃金未払い。
- 健康診断も受けられない。
- 宿舎も悪辣な環境。
ここまでは技能実習生の置かれた厳しい現状を訴える記事です。問題は、『◆「労働条件明示義務違反」や「現金・直接・定期・全額払い原則違反」も』の最後の部分です。
そして、業種にかかわらず、一般的な問題としては、そもそも技能実習生が退職したり、転職したりする自由が制限されていること、つまり職業選択の自由が保障されていないことが問題です。
人権をうたいつつも、技能実習生制度の縛りを無くし無制限な外国人移民受け入れを拡大しようとする意図が表れていますね。
退職はしても良いのです。企業や監理団体は全力で阻止をしようとしますが、本人が本当に退職したいのであれば、企業や団体だってこんなやる気のない人間をいつまでも雇っていても意味がないと思って帰国させてくれますよ。問題なのは、外国人技能実習生の転職の自由を揚げていることです。
外国人技能実習生を来日させるまでの作業は非常に煩雑です。資料を作成し、揃え、身元を保証し面接から来日まで半年以上かかります。また、法外な額をむしり取っているとは言え、技能実習生の教育に時間をかけなければなりません。
時間と労力をかけて育てた人材が来日して就職したのに、いきなり転職されたら受け入れ企業にとってはたまったものではないでしょう。そもそも、入国に際して職種の縛りがなければ、技能実習の体をなしていません。建前とは言え、決められた職種の技術を習得して母国へ帰国するのがこの制度の根幹です。
それを反故にしてしまったら、賃金がより高い職場へと移るのが当然です。売春、犯罪、金融系のグレー企業、大金が稼げるヤクザのフロント企業に悪用されかねません。さんざん時間をかけて入国手続をした団体、企業は骨折り損です。
この制度自体が犯罪の温床と言っても良いのですが、更にタガを外してしまったら、人文知識やその他の就労ビザで入国している外国人となんら変わりがなくなってしまいます。
斉藤准教授は後編で「外国人移民を受け入れろ」と吠えています。続きはこちら。