中国人技能実習生を先月帰国させました。理由は、内臓疾患だなんだと本人は言っていましたが、完全に精神的におかしくなっておりました。企業担当者も無責任というか、無関心というか…私に連絡があった時も、
「ああ…どうも、才谷さん?え~とね。誰だっけ。中国人だよ。名前は知らないけどさ。急に帰りたくなったって言って出勤しなくなっちゃったの。よくわかんないからすぐ来てよ」
聴いている方はもっとわからんのだが…。
都合が悪いので当日は行けないと断ったら、プチギレ。
ちょっと無能な部長さんなので、私もまともに相手にしたくありません。とは言え、トラブルには違いないので、2日後に訪問すると伝えて電話を切りました。
私が訪問したところで、帰国の意思は固いため説得などは無理でしょう。すぐに派遣機関へ連絡して、彼の両親から説得してもらうよう依頼しました。
工業包装、ダンボール箱の梱包なので作業自体は軽作業です。ただ夜勤だったので体調を壊してしまった可能性もあります。本人から電話がかかってきたので、事情をうかがいましたが、とにかく気分が悪いので帰国したいと訴えておりました。電話ではきりがないので詳しいことは当日話そうといって電話を切りました。
部長、本人から事情聴取
当日、企業を訪問し部長と本人と面談。
「え~と、この人だれだっけ?どうして帰りたいのかな?私はこの人と話したことないけど、なんか困っているみたいだね」
はあ?
外国人技能実習生を道具扱いしている方なので、名前なんて全く覚えておりません。
月並みな説得を行いました。
- 家族親戚縁者にお金を工面してもらって来たのだから、もう少し頑張れないか。
- 会社に対して何か言いたいことがあれば言ってほしい。
- 1年経過したばかりなのに帰国したら一生後悔する。
しかし、精神的に不安定であり。同室の実習生からも彼は怒りっぽく、協調性がない。夜遅くまでゲームばかりやっていて奇声を上げる。電気をつけっぱなしでないと夜眠れない。今まではこんな話を聴いたことがなかったので、いつごろからか確認すると1週間ほど前からだそう。
部長さんから、
「この人達ってどうやって日本に来ているの?才谷さんの知り合いとかを集めてくるわけ?」
もうね、アホでしょ?
技能実習制度については口が酸っぱくなるまで説明しております。やる気も知る気もないのでしょうね。でも、ここまで来ると痴呆症を疑いたくなります。まだ50代の部長さんですよ。
部長の方へ話を振ると、
「いや、俺は別になにもないよ。やる気が無いならしようがない。どうしていいか俺は決めないけどさ、社長に言っといて」
実習生のやる気のなさにも怒りを感じていましたが、精神的に病んでいるので仕方がありませんし、異国の地での暮らしがどうしても耐えられないという人はおります。肉体的に精神的にきついというのであれば、強要はできません。無理やり残留させても職場に迷惑がかかりますし、何より人権侵害です。
しかしながら、この無責任なまでの部長の対応は目に余りました。
「部長、私からも報告いたしますが、この部門の長として社長との面談に同席いただけませんか?」
「い、いや、俺忙しいから^^;才谷さんから言ってもらえればいいから」
社長の雷が落ちるっ!!!
ものすごく嫌がっているので、実習生をつれて社長の元へ。上記の顛末を伝えていると、社長が話を遮りました。
「ちょっと待てよっ!俺は聴いてねえぞ!!」
確かに、問題があった時は社長に報告するのが常でしたが、半年前から部長へ報告するよう指示を受けていました。問題は部長から社長に上げると。まあ、こんなことを言っても仕方がないので、報告をしなかったことをお詫びしました。
「いや!才谷さんじゃないよ!あいつだよ!呼んでこい!」
女性の事務スタッフが大慌てで内線で部長を呼びました。
部長入室。
「俺は聴いてねえぞ!あんたが報告しないでどーすんだっ!報告連絡相談なんて毎日偉そうに言っているのに、自分が出来ないでどーするよっ!」
ガンガンに怒られる部長。
部長の責任に関しても追求され、一気に修羅場に。怒号が聞こえ、他のスタッフが入室来てきて、私と実習生を退室させてくれました。
この後、帰国の手続きを取り終了。
住環境は大事。受け入れ側のモラル向上も大事
まあ、このいい加減な企業の話はともかくとして。
実習生のメンタルケアって大事ですね。1年目は特に適応力が必要だと思います。私も中国で駐在していた時期がありましたけど、1年目ってものすごく疲れるし、慣れずにしょっちゅう腸炎にかかっていました。心と体って本当に一体何です。病は気からと言いますし、逆に体調がずっと悪いと気持ちまで病んできます。
- 外国人技能実習生は金を稼ぎに来ているだけ。
- 夜勤だって残業だってなんだってやる。
- 汚い仕事をやらせても文句一つ言わない。
- 母国ではタコ部屋に住んで仕事をしているのだから、日本だって2DKの部屋に6人ぶっ込んでも構わん。
こんなことを考えている企業さんは少なくないはずです。
肩を持つわけではありませんが、住環境は大事です。むしろ劣悪とは言わないまでも、日本人が住めないような宿舎を提供するのは、日本の恥じを晒すのと同じこと。特別贔屓にしろとは言いません。2DKの部屋に二人住まい、3DKの部屋に三人住まい。狭くてもいいから一人部屋を確保して上げることって大事だと思います。
一人部屋を提供できている企業はこれっぽっちも問題ありません。
住環境が酷いところほど問題が起こりやすいですね。ケンカとか、周囲の雑音の影響によるいざこざです。
今回の企業さんの実習生宿舎の環境は悪くありません。実習生の心の問題でした。原因究明のためにインタビューを行いましたが、長くなるので次回以降書かせていただきます。