中国の派遣機関のスタッフが年末の挨拶に来た時に、バングラディシュの技能実習生をすすめられました。
機械関連の企業は中国人技能実習生の需要は十分あるし、ベトナム人技能実習生を受け入れた企業が中国人技能実習生へとシフトチェンジするパターンもちらほら見られています。
そんな中、農業、建築業においては中国人、ベトナム人も敬遠しており、派遣機関が建築業への派遣を断る自体すらあります。特に最賃で実習生を受け入れようとする企業においては、募集を断られることが多くなりました。
零細建築業者が採用するならバングラディシュ?
中国の派遣機関は今まで培ったノウハウを活かし、ベトナムはもちろんバングラディシュ、カンボジアなどに支店を設け、中国人技能実習生ではカバーしきれない職種を埋めようと努力しています。
比較的規模が大きく、技能実習生を最低賃金+アルファで雇うことができ、移動時間も賃金に反映する。福利厚生が充実している企業であれば、中国人、ベトナム人技能実習生を受け入れることは十分可能です。しかし、日本の建築現場を支えているのは孫請け以下の小規模企業、零細企業です。
- 家族以外に従業員がいない。
- 日本人を採用してもすぐに辞められてしまう。
- 賃金が安い。
- ベトナム人、中国人技能実習生もすぐに辞めてしまう(失踪、途中帰国)。
人材が居着きません。
バングラディッシュの強みとしては上記のような企業であっても、彼らの需要を満たすことができるとのことでした。
バングラデシュ:認定送出し機関
http://www.jitco.or.jp/send/situation/bangladesh/sending_organizations.html
バングラディッシュの強み(中国の派遣機関職員談)
- 低賃金での労働もいとわない
- 建築労働者を豊富に抱えている
- 人口が多い。wikiによると2015年の統計が約1億5940万人
- シンガポールなどの国へ大量の建設労働者を派遣している実績
日本の建築実習生では手取り額が10万円を割ることがざらにあります。しかし、彼らにとっては高給です。シンガポールに出稼に行って月の給与が5万円ちょっとでも彼らは十分満足しているそうです。
建築関係の経験者が多く、日本への派遣に対して非常に積極的になっています。
低賃金でも雇えるから…となってしまうと外国人技能実習制度そのものが破綻しかねませんが、まあこれまでこの感覚で受け入れてきた監理団体、企業がほとんどでしょう。とは言え、安い労働力を求めて出身国を変えるよりも、自社の努力や業界の努力で日本の建築業界の現状を変えてほしいところ。
安かろうで受け入れてしまうのも問題だよなあ。実際に人材不足で困っている零細建築業はたくさんあるのはわかっていますが…バングラディッシュ人を受け入れるからと言って「3年間こき使ってやろう」って考えではこれからの時代は生き残って行けないと思うんですよね。
建築業界の労働条件と風習を変えていけば、日本人の職人も増えるだろうし、外国人技能実習生も呼びやすくなるのでしょうけど、建築業界の習慣って非常に高い壁だと感じています。考え方とか遵法精神、本当に難しいです。
ネットでざっと検索したら、一般社団法人国際人材交流機構さんというところがバングラディッシュにお強いようです。ちなみに私はもちろん関係者ではありません。内情はわかりませんが、一般社団法人って組合よりも立派そうで監理もしっかりしていそうですね!
特定の国に強い監理団体ってこれから生き残る上でも、差別化になり受入企業にも良いアピールになります。うちみたいにどこの国にも中途半端に首を突っ込む組合は駄目なんだろうなあ~…。
制度を活用するのなら居心地の良い社風を作りたい
バングラディッシュ人が集まらなくなったら、今度は他の国へ…となっていくのでしょうけど、外国人技能実習制度はやはり企業、実習生にとってウィンウィンの関係になりたいですよね。
残業等は実習生にとっては割増賃金になるので、喜々としてやることが多いですが(特に中国人技能実習生)、日本人職員が嫌がる夜勤や残業を引き受けてくれるわけですから、賃金若しくはその他の福利厚生で彼らを大事にしてあげた方が、よほど将来的に良いと思います。私が抱えている企業はずっと中国人技能実習生を受け入れていますし、喧嘩や事故などのトラブルが数年に1度起こる程度で、人権問題、企業のコンプライアンスに於いては脱線がありません。
今のところ、中国人技能実習生がダメだから他の国に…という話は出てきていませんね。
外国人労働者とは嫌でも関わらざる負えない状況がやって来ている!
技能実習生の残業時間を確保しなければ募集困難…でも、36協定特別条項越えの残業にも注意!
最賃で残業も少ないけどその他の待遇は良い。法令遵守、社風の良い企業ならOK!
バングラディッシュは当組合でも一時受け入れの声が上がりましたが、昨年夏、日本人も巻き込まれたテロが起こったことで、受け入れ熱が一気に冷めました。冷めてしまうどころか、話が消えてなくなってしまいました。
事情はすでにご存じの方も多いと思いますが、このテロは日本人をターゲットにしたものではありません。親日国としても知られており、日本人やその他の外国人に対してはフレンドリーなようです。
人口も多く、ISの過激思想に毒されて行動を起こす輩もでるでしょう。だからと言ってバングラディッシュの技能実習生の受け入れをやめるというのは早計、あまりにも短慮だと上層部に話をしましたが…あえなく却下。
うちの組合の傘下の企業でも、ベトナム人技能実習生、中国人技能実習生を受け入れたけど、すぐに失踪してしまうケースはありました。最賃だけれども、宿舎の家賃は安い。移動時間もしっかり賃金に入れているにも関わらず逃げてしまうんですね。
なんというか…建築で募集をかけて選抜しても、候補者たちの質も低いです。低い人しか集まらないそうです。ガッツもないし、ちょっと頭の回転が悪いというか…そんな人達ばかりが集まっていました。
待遇は酷くはないので、この企業さんにバングラディッシュ実習生を紹介したいと思っていたのですけどね。上記の通り却下。
「テロリストを入国させる羽目になるかもしれないんだぞお!」
と、開明的な部長がおっしゃっておりましたw
コンプライアンスに乗っ取り、きちんと受け入れができる。けどどうしても最低賃金しか出せない建築業、農業職種の企業さんはバングラディッシュからの受け入れが生き残りの糸口になるかもしれません。