ブラックに近いグレーな受入企業にJITCO巡回が来た時の話

グレーな受入企業にJITCOの巡回がやってくる…と、聞くとひやりとするものですが、例えグレーな受入企業であっても、あなたが毎月訪問して問題点を把握し指導していれば恐れるに足りません。常日頃、JITCOと連絡を取り、問題を解決するための相談をするなどしておけば、いざ、監理団体の責任を問われた時に軽傷、もしくは無傷で済むことだってあるのです。

受入企業へは問題点の改善とともに、必要書類を揃えていただくようおねがいします。

私が以前担当していた企業もグレーでしたね。
普通、JITCO巡回というと企業も監理団体職員も嫌がりますけど、自分はむしろ歓迎です。賃金台帳を始めとする書類に関してきちんとチェックしてくれるし、問題点があったらすぐに指摘してくれるからです。普段私が指摘している内容でも、JITCO指導員が言うのとでは、効きが違います。

下記、実際のJITCO巡回での内容です。この時の指導員は本当に怖かったです。怒りの形相を浮かべながらガンガン企業の不備を突いてくれましたw

  1. 技能実習生の実習計画進捗状況確認
  2. 残業代の計算方法、賃金台帳、雇用保険加入確認
  3. 健康診断(雇い入れ時、定期健診、塵肺機能検診)
  4. 職種に関する高級技能試験の受験、特別教育の実施状況
  5. 現場視察
  6. 実習生寮視察




巡回指導始めっ!

技能実習計画と実習記録に差異があった。応用作業が全体の3割程度しかないので現場担当者、書類作成者は常に気を配るように言われました。実習生2号にもなって基礎的な作業ばかりやらせていたのが発覚。

「実習実施計画と全然違うじゃないか!単純労働?もっと難しい事やらせて上げなきゃ実習の意味が無いよっ!」

受入企業が作成した技能実習計画表に記載してある実習生数が実際の数と違っていた。
途中帰国した人もいましたからね。一言言えば済むものを、怒気を含んだ口調で「普段からだらしのない管理をしているからだよ。組合さんも注意して上げてね!」と言われました。
賃金台帳、雇用保険加入者数に関する諸書類が準備されておらず非常に時間がかかった。

「モタモタしてさあ~。予め準備するよう組合さんから通知してあるんでしょ?」

「は、はあ。私の方から2週間前に通知済みでございますよ(^_^;)」

賃金台帳、雇用保険加入者の人数確認のできるもの等、用紙を要求される度に担当者が部屋の出入りをし、尚且つ、部屋を出た人と戻ってきた人が違うのでこれにはJITCO指導員も苦笑。

「これだけ頭数がいるのに、書類一つ揃えられないってどんな労務管理なんよw」

 

まあ、賃金面では特に問題はなかったんですけどね。ただ、この企業に関してはその前に入管から不払い賃金について厳重注意を食らった後でしたから流石に大丈夫でした。
健康診断については、2年前の巡回時に受入企業は「定期健診、雇い入れ時健診を行っている」と回答していましたが、今回証拠書類を求めたところ行っていないことが発覚しました。

雇い入れ時健診を実施するようにうちからも伝えていたのですが、「やっている」との回答しかもらっていなかったんですね。まあ、うちの前任もDQNでしたからこの辺のチェックも甘かったんでしょう。定期健康診断は…かなり不定期でした。

いつも不思議に思うんですが、どうして健康診断やらないんでしょうね。お金と時間がかかるから…というのが理由だと思います。しかし、実習生受け入れ、JITCO云々の前に、いち企業として従業員の健康診断は義務ですし、企業が負担してしかるべきのものですよね。やらなければ労基から是正勧告ものです。秤にかけるまでもない事柄です。

診断を受けている人といない人たちにくっきり別れており、直近に入国した実習生に関しては、雇入れ時の健康診断を行ったかも確認済みでした。たまたま、今回の巡回の対象が入国して1年目の子たちだったのが幸いでした。

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また、溶接実習生は塵肺機能の検査もするよう指導されました。

J「組合さん、ちゃんとやるように指導している?!っていうか、これは企業さんも言われる前にやっていて当然の検査だよ!溶接事業何年やってんの?もしかして、日本人にも受けさせてないの?」

企「う、受けさせてますう~」

J「なんで実習生には受けさせへんの?」

企「それは・・・・・・・」

うちからもじん肺機能検査については受けさせるよう指導していました。「受けた」という返事だけでしたので、診断結果を見せるよう伝えましたが逆ギレされたことがあります。話をはぐらかされたこともあったし、この件については予め指導員に電話で伝えおきました。JITCOから言われるのと私からでは効果も違うでしょう。見事に雷が落ちました。



溶接に関する高級技能試験の受験、特別教育の実施について報告書が残っていなかった

受入企業実習生は技能試験基礎1級以上に相当する溶接のJIS試験を受験していました。これは良いことですよね。ただ、クレーン・玉掛などの特別教育の記録が残っていなかったのが大問題でした。労基が監査に来た場合、いくら実習生がクレーン操作・玉掛けができていたとしても書面で記録を残しておくなり、きちんとした教材がないと是正勧告の対象となります。

その他、監理団体は受入企業の選抜に立ち会っているか、労働条件を通知している
かを聞かれました。もちろん通知と説明を行っています。

 

JITCO指導員からの指導まとめ

企業に対しする注意

  • 受入企業の書類管理がずさんすぎる。JITCOと組合から準備書類について事前に話をしていたにもかかわらず、なぜすぐに提出できなかったのか。
  • 書類のケアレスミスが多く、書き間違いが多い。
  • JITCOと組合に虚偽の申告をしていたことに立腹していた。雇い入れ時健診については必ず行うように。塵肺機能については今後行うこと
  • 「クレーン、玉掛けの資格を取りました」だけではいけない。報告書の形で特別教育、講習について必ず書き残すように。

組合への注意

  • 監理団体が賃金等をチェックする。その際はJITCO巡回並に厳しくチェックするよう。半年に1度程度でも構わない。3月に一度は実習記録を厳しくチェックする。

 

所感

今回の巡回担当者指導員は非常に厳しい口調で企業を指導していましたね。終始^^;。特に虚偽の報告があったことについてはブチ切れていましたし、組合の指示を聞きもっと仲良くするように注意されちゃいました^^;。

組合から企業担当へは、事前に準備書類について電話とFAXで確認をしましたが、「10年以上もやってるんだから何も言わないでいい!何をやるかもわかっている。心配するな!」と一喝され電話を途中で切られてしまいましたからね^^;

実習生受け入れに関して法的な問題をクリアーしていなかったため、私も厳しくしつこく指導してきたためか、この担当者にはかなり嫌われておりました。でも、数年後担当が代わり今ではこの企業さんとは良好な関係を築けております。

実習生に厳しくすることはもちろんですが、不正行為を行っていた企業、その疑いのある企業については更に厳しく指導していくよう心がけたいものですね。


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