受け入れている実習生が忽然と姿を消した…。
神かくしにでもあったんじゃないだろうか…?なんて思ってしまいますよね。私も失踪初体験はショッキングでしたよ。
外国人技能実習生が失踪したら受け入れ停止になるの?
失踪が相次いた場合は監理団体も受け入れ停止になると思っていました。めちゃくちゃうぶでした^^;いや、今でもそんな気持ちで仕事をしていますし、受入企業さんには「失踪しまくったら受け入れ停止になるので」と緊張感を持って臨んでいただいております。
でもね…過去5年間で失踪が理由で受け入れ停止になった企業さんはないんですよ…。
実際、入管法には下記の文書がありますけど、現状を見る限り形骸化しているんじゃないかと思われます。
参照記事:http://www.sankei.com/west/news/150515/wst1505150052-n1.html
うちの団体でも技能実習生の失踪はあります。99%が建設関係ですね。給与が低くて逃げるパターンです。
行方不明者が発生するとどうなるのか?
JITCO『技能実習生の行方不明者発生防止対策について』:http://www.jitco.or.jp/download/data/1409010.pdf
この業界全体で実習生の失踪が理由で受け入れ停止になった監理団体、企業がないので、なんとも言えませんが、JITCO職員の方、地方入管の方に伺ったところ、失踪が原因で受け入れ停止になるケースとして下記のようなものがあるとのことでした。
- 実習生に対する恒常的な暴力行為(人権侵害)
- 賃金不払い。
- 残業割増不払い。
- セクハラ等の人権侵害
- 人間が住めないような場所に住まわせる
でも、これは誰かが入管や労基署に垂れ込んでこそわかる事実。
正義感のある監理団体職員、または社員さんが現状に見かねて関係機関へ報告にいく・・・ケースも考えられるかもしれませんが。
失踪してまで日本に残留し、不法滞在者となってもお金を稼ぎたい実習生たちが、上記の訴えをするために入管に駆け込む…なんてことは100%ないと思います。入管に駆け込んだら、実情を話して悪徳企業やクソ団体に鉄槌を下す事ができるかもしれませんが、本人は不法滞在で確保されちゃいますから。
また、暴力を受けた事実があったとしても、一方の言い分だけ聞いて終わりにはなりませんし、企業への事情聴取があるかもしれません。鉄槌が下るまで時間がかかります。事実確認を取るのにどれだけ時間がかかるんだ…。暴力、セクハラなどは証拠や証人も必要になるでしょうしね。
残業代、割増賃金不払いは帳簿を見たらわかります。
しかし、だからと言って失踪するような人間が入管に駆け込んでまで知らせることはなさそうです。事例がないのでなんとも言えませんが、不払い賃金がそれほど高額ではないのに、失踪した場合、「企業が100%悪い」となるのか。もしくは、この程度の額で失踪する方が悪いとなるのか…。
駆け込む人たちは帰国間際まではおとなしく働いているはずです。
彼らが自分たちでつけている残業代(タイムカード。もしくは残業時間の打刻を許さない企業で働いている人たちであれば、自分でメモした残業時間)を労基にもって駆け込み、今まで未払いだった分を請求するケースは過去にあり、新聞を騒がせていましたよね。
話がずれましたが、やっぱり「企業の咎で失踪した」と決めつけるのは難しいです。
うちの団体が監理する企業さんでは上記事象はありませんし、賃金は支払っています。
ただ、建設関係の場合、車での移動時間が時給に換算されなかったり、天候不良で仕事が休みなったりすると賃金が発生しません。
それで逃げてしまうんですね。
- 賃金も最低賃金以上払っている。
- 割増賃金も払っている。
- 宿舎環境も良い。
それでも、天候や移動時間が時給換算されないかぎりは…受け入れはしない方がいいと思うんですよ。ぶっちゃけますけど…。私自身が監理している会社さんも建設ですが、実習生に必ずタイムカードを押させて、移動時間などの拘束時間にも時給を払って欲しい旨を伝えていますので、失踪ゼロで頑張ってもらっています。受け入れ前に話を詰めておいたし、「そうじゃなきゃ他の団体を使って下さい」とまで言いましたからね…。あの時はヒヤヒヤしました。
うちの団体が監理している企業さんで10人中8人失踪したケースがあります。
それでも入管から何も言われていません…。
実習生の失踪の原因が企業にないからです。
受け入れ総数20人以上49人以下で10人以上逃げていますから^^;
失踪の予兆はあるの…?
これは難しいですね。
いきなり逃げます。基本的に。
あくまで自分の経験ですが、予兆の一つとして上げられるのが、失踪予定の1,2ヶ月前は残業しなくなったり、有給を消化し始めます。
今までは
「残業させて欲しい」
「夜勤に回して欲しい」
と、言っていた実習生が急におとなしくなって、残業の指示がない限り残業しない。休日出勤を断わる等の現象が見られます。前月分の給与はどうせもらえないと思っているので頑張らないんですよね…。
「もっと日本で働きたい」
「もうすぐ3年経つけど…またすぐに日本に来る方法はあるのか?」
などと定期巡回のたびに聞いてくる実習生にも気を配ったほうがいいかもしれません。
その他、通帳の残額が少なかったり、身辺整理し始めているなど。まあ、この辺はなかなか見抜けませんよね。
よく言われているように、失踪の予防法としては、
1.最低賃金ではなく、最低賃金+50円以上
これは職種にもよりますが、建設関係は最低賃金+αが欲しいですね。
中国では建築工の派遣を行わない派遣機関が増えてきました。私がお付き合いさせて頂いてるところは、鳶工、土方などの作業は絶対に送り出さないという派遣機関ばかりです。
2.移動時間その他の拘束時間も賃金として支払う
工場勤務ならタイムカードできっちりと計算できますが、建設は上記の通り移動時間が賃金に反映されない企業がほとんどです。実習生を継続的に雇用し、安定した労働力を確保するにはそれなりの出費が必要です。
3.募集時、面接時に待遇を明らかにする
労働条件通知書を見せてサインさせるだけでなく、現場の実情を話しておくこと。
- 重い物の運搬。重さは何kgで、どんな材料か
- 夏場や冬場の現場環境
- 現場の臭い
- 建設なら賃金に含まれない時間帯を明確に伝えておく
今から考えるととんでもないことですが、失踪防止のためにパスポート、通帳、在留カード(当時は外国人登録証明書)を預かる企業ってあったんですよ。研修生だった頃かな。しかも、今思うとゾッとしてしまうのが、JITCO(国際研修協力機構)が「パスポート預り証」なる書式を作っていましたからねwww
パスポート等を預かるのは完全なる人権侵害!
今やったら一発で不正行為。在留期間の短縮、受け入れ不可になるかもしれませんので絶対に辞めましょう。パスポート等を預かるのは完全なるNG。逃げる人はそんなものなくても逃げちゃいますから!
兎にも角にも待遇を良くして上げる事で失踪をかなり予防できます。これは某説明会で入管職員も言っておりました。10人中8人逃げるような環境でも…賃金を上げてあげれば10人中1人に減るかもしれませんし。
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[…] 外国人技能実習生の失踪は突然にっ!予兆なんてあるのかよっ!? […]