外国人技能実習生はどうして給与が低いのか?を説明する

最近はほとんど聞かれなくなりましたが、実習生たちから、

「どうして俺達の給与は日本人よりも少ないんだっ!全く同じ仕事をしているのにっ!」

というクレーム。私がこの仕事についてからはよく質問されていました。しかし、同じような質問ばかりされるので、採用前に「どうして実習生の賃金は日本人よりも安いのか?」を説明してきました。

 

実習生の賃金が安い理由

  1. 日本人のように日本語が話せない…どころか全く話せないから
  2. 監理費、管理費、渡航費用、研修費用がかかるから
  3. 宿舎準備のための初期投資がかかるから

でも、これって理由としては非常に弱いですよね。理由にすらなっていないと思います。

「日本人と比べて賃金が安すぎると思ったら来なければ良い。それでも良いなら来てください」

っていうのも乱暴だし。日本人と比べて賃金が安いよな…どうやって説明しようか?と考えていて気がついたのは、なぜ日本人と比べる必要があるのかってことです。

日本人は日本に長年住んでいて日本語が話せますし、日本人との付き合い方、日本社会、会社での常識を身に着けています。中にはあまり身につけていない人もいますが…さておき。意思疎通が十分できるし、言葉の面でも困らないので仕事がスムーズにいきます。

かたや、実習生ですと言葉が通じない、日本社会、会社の常識を知らない、トラブルを起こす危険もある。

技能実習生以外の外国人労働者と比較する

上記の1.~3.の説明をすると実習生たちは日本人との給与差について文句を言ってくることはほぼなくなりました。しかし、職場によっては外国人の外注さん、永住者の外国人正社員との賃金差について言われることがあります。

中国人、フィリピン人、ブラジル人などが在籍しており、賃金は他の日本人職員と同じです。ただし、彼らは、

  • 日本語レベルが実習生よりも高い。外注の外国人の方は少なくとも日常生活で困らないレベル以上の日本語力である。永住者に限っては、身元も保証されており、日本語も相当上手い。
  • 日本の常識、マナー等を身に着けているか、少なくとも知っている。
  • 私生活まで気にしなくても良い。※実習生の場合だと、プライベートでの怪我、病気などでも企業や監理団体が世話を焼く必要が出てくる。
  • 正社員の場合、現場仕事だけでなく、管理面、レポートを書いたり、日本人職員と同等の仕事ができる
  • 個人差はあるが、外国人労働者はここまで至るに様々な経緯を経ている

実習生の学歴は良くて短大卒か高校卒です。学生時代勉強が特別できたわけでもなく、勉強なんてほとんどしなかった人が多いと思います。母国でも高賃金の仕事につけるほど学歴も実力もない人間が、日本に来た途端、どうして永住外国人等と同等の賃金(最賃ではない)をもらうことができるのか。

外注の外国人労働者、永住権等の資格を持った外国人労働者たち(不法入国や在日等を除く)は、日本に来てから最低賃金などで働いていた時期もあったでしょう。正社員として働いている人も、以前は留学生として来日し、日本語学校に通いながらアルバイト。そのアルバイトはすべて自分で探したでしょうし、一定以上の日本語力がないと雇ってくれません。中には職場で嫌な目にあったり、日本語ができなくて苦労した人もいるでしょう。実習生が来日したばかりの日本語レベルでは、どこもアルバイトとして雇ってくれないでしょう。日本語を学びながら、アルバイト。学費なども自分で工面。日本人学生と同じように就職活動をし、日本語は上手だけれども日本人学生と比べたら当然劣りますし、それでも同じ土俵で就職先を見つけるのは至難の業です。

そういう人たちが正社員として働いています。

例外や不正行為をしてきた人を除いて、今現在日本で経済基盤を築いている外国人労働者の多くは…現在に至るまでそれなりの苦労をしてきたわけです。

「あの人(中国人の外注)は給料32万円!私同じ中国人だけど14万円、おかしいよ!」

そうだよな~と一瞬思うんですが、やっぱり違うよなと思い返します。

  • 実習生のスペック(学歴等)で母国の2倍、3倍以上の賃金を稼ぐことができる。
  • 衣食住の心配はほぼない。日本に来てアパートを探したり職探しする必要はない。
  • 言葉が通じなくても、いざという時は監理団体の通訳が助けてくれる
  • 日本語がうまくなくても、決められた仕事、言われた仕事だけやっていれば良い。※受入企業は、彼らは日本語が出来ないという前提でうまく仕事を配分してくれる
  • 1~3年という時限つき。3年間我慢すれば良いやと開き直って仕事していれば良い。永住者は日本に一生住み続けるという覚悟があるので、日本語習得、日本社会に溶け込もうと努力しているし、ものすごいストレスを感じている。
  • 集団大抵3人以上で来日し、実習生の先輩がいる場合などは、言葉や生活面でそれほど心配せずに暮らしていく事ができる。

宿舎に関して、私が監理している企業の実習生宿舎は2DKに2~4人暮らしています。家賃を頭割りで負担してもらっている企業、企業が家賃の半分と水道光熱費を負担し、家賃の半分を実習生が頭割りしているところもあります。通常、言葉のできない外国人が4人で部屋を借りるのは、どこもお断りするでしょう。しかし、企業が保証人だから借りられるんです。2DKに4人は狭いと思われますが、中国や東南アジアの留学生は複数人で部屋をシェアしています。

実習生と言っても実質出稼ぎ労働者なので、日本語を覚えようとか、日本に馴染もうとする意識が非常に低いんですよね。「どうせ3年間しかいないし」という思いがそうさせるのでしょう。仕事に慣れて、仕事で使う言葉だけ覚えてしまえば後は惰性でダラダラ3年間過ごせる。それでいて、母国で稼ぐよりも3倍くらい多く稼げる。
こういった人たちが日本人の正社員と比べられるのはナンセンスだし、日本人が日本に入国する時、日本人ならスイスイ入国できるけど、外国人の窓口は長蛇の列で長い時間待たされる。これを見て外国人から「不公平だっ!」と言われても…「はあ?」となりますよね。

 

そんな感じです^^;

日本人と比べないで他の外国人労働者と比べるべきだと思うんですよね。で、比べた時、個々のケースはあると思いますが、やっぱり実習生だから外国人労働者と差があるのは仕方ないことだ…と思い直すことが多いです。

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