まっとうな技能実習生関連のサイトを見ると、必ず技能実習生受け入れに関するメリット、デメリットが記載されています。
私も書くかな…。
以前も書いたかもしれないが、埋もれているので改めてまとめて書いていきたいと思います。
派遣社員やアルバイトと違って離職率は低いです。派遣社員、アルバイトを雇用するにあたり求人広告を利用し、人材派遣会社を通じての受け入れとなると大きなコストがかかります。コストをかけても入社数か月に辞めてしまうことなんてざらです。
私が昔アルバイトをした製パン工場、精肉工場の話です。新聞の折り込み広告、タウンワークでそのアルバイトを見つけ入社。10~20人採用して、労働日初日。お昼休みを終えて現場に戻ったら、4人くらい辞めていました。
広告費と全然見合わないと思うんですよ。
その点、技能実習生は受け入れ前の初期費用および毎月の監理費等が掛かるとはいえ、離職率は低いです。よほどの理由がない限り「入社数か月で辞める」ことはありません。
賃金が日本の方が良いという点もありますが、中国、ベトナムの工場勤務はやたらと労働時間が長く、保障も行き届いておらず待遇も最悪。宿舎の設備も良くありません。安全意識も低いため、労働者の怪我なんて日常茶飯事。ほぼほったらかしです。
日本は労働者が手厚く保護されており、宿舎も最近では個室が主流となってきています(私の組合の話ですが)。住環境、職場環境も良いという点も挙げられます。
上記のように離職率が大変低いため、受け入れ企業は1~3年のスパンで生産予定が組み立てやすくなります。アルバイトやパートが主戦力の現場では、パートアルバイトさんの103万円の壁があり、どうしてもフルタイムで働いてもらうことができない。
しかし、技能実習生は正社員あるいは準社員として雇用されておりフルタイムで働くことが可能です。
技能実習生の9割以上がお金を稼ぐために来日しています。夜勤を嫌う人が多いですが彼らは自ら買って出ることが多いです。夜勤のラインも安定し、離職率も低い。生産性向上につながります。
しかし、大事なことがあります。
絶対に技能実習生だけで夜勤をやらせないこと!技能実習指導員が同じ時間帯に付いていないと、外国人技能実習機構の検査で指摘され指導を受けます。
そして、原則、技能実習生に夜勤をさせてはいけません。行うためには「夜勤をする理由書」を外国人技能実習機構に提出する必要があります。理由書の中で「夜勤を行うことで技能の習得につながる理由が明確」であれば、夜勤を行っても問題ありません。
※外国人技能実習機構に実習生の夜勤を許可してもらうためには、計画認定申請時に雇用条件書に夜勤の理由を添付する。あるいは、実習中に夜勤シフトを組み込むことがはっきりした時点で、軽微変更届とともに理由書を提出してください。
水産加工、農業、建築などの高齢者が多く若者が少ない職場において、若者が一緒に働いてくれると活気づきます。精神論的な話かよ?と思われるかもしれませんが、若者がいることで自然と元気が出てくるものです。でも、私たち組合はブラック職種として認識しているため農業、建築、個人商店のような水産加工業者とのお取引はご遠慮させてもらっています。コンプライアンスの意識が低いからです。ブラック職種の経営者は技能実習生受け入れる前に我が身を振り返ってみましょう。
安くないです。渡航費、国内外での研修費用、研修手当、実習生保険などの初期費用および毎月支払う監理費等を加えると高卒の新卒を採用した方が安いです。決して勘違いしないように。監理費を値切ってくる会社は、まともな組合だったら相手にしません。先が見えています。
技能実習生と言ったら失踪がつきものですね。失踪の防止方法については過去記事でも書いたのでこちらに置いておきます。
大きな理由としては、実習先で思った以上に稼げなかった。送り出し機関に支払った諸費用があまりにも高額なため、高利貸しから借りたお金を返済できないなどの理由から失踪するものが大半です。職場での人間関係がうまくいかずに失踪する人もいますが、前者と比べると圧倒的に数が少ないです。やはり、失踪=犯罪を犯してでも稼ぎたい人間ということになります。
日本語の事前学習をしてきていると言っても、うまくはありません。うまくないというかほとんど話せません。日本語能力の高さを売りに、企業に営業をかける組合もありますが、まるごと信用してはいけません。
配属後、仕事の指導をするうえでネックになるのが日本語能力です。どのように指導していくかを過去記事に書いていますので、こちらをご参考ください。
市役所での手続き、通院、ごみの捨て方、銀行口座開設、出身国への送金手続き…などなど日本人なら一人でやってくれることでも技能実習生にはできません。組合のサポートも得られますが、事務手続きなどは企業がやるべきことです。監理団体に生活面でのサポートを丸投げしてしまうと、何かあったときに企業の言うことを聞いてくれない実習生ばかりになってしまいます。監理団体が主導権を握りすぎてしまい、技能実習生は組合の言うことを聞くが、企業の言うことを聞いてくれない状況に陥ることもあります。このような態度は生活面だけでなく仕事にも影響します。
企業は受け入れの主は自分たちであることを自覚し、組合のサポートを生かしながらうまく協力していこうというマインドでなければ、円滑な受け入れは難しいです。
技能実習生の受け入れをするのであれば、覚悟してほしいことも今回書きました。
技能実習生を受け入れる前に行うこと
社員が定着しない、現場がまとまらない。もめごとが起こりやすい。人間関係がぎくしゃくしている。待遇が悪いと社員らから言われる…などなど。
このような問題を抱えているのであれば、まずはこれらを解決してください。
解決せずに「定着率の良い技能実習生を受け入れよう!」では、技能実習生という爆弾を抱えたまま企業経営を行っているだけです。
解決のために努力し、改善したのに、なお人が集まらないのであれば受け入れをご検討ください。