今まで、実習実施者による様々な労働関連法違反にぶち当たってきました。
違反を確認したらすぐに指導しましょう。
この記事では、うちの組合の実習実施者において発覚した違反事例を上げてみます。
技能実習生に残業をさせているにも関わらず、様々な理由をつけては残業代の支払いを拒否そしていた企業が有りました。まだ旧制度が始まったばかりの頃でしたね。
企業が支払いを渋っていた理由は「与えられたノルマをこなしていなかったから」というものでした。会社で拘束しておいてノルマも何もありません。すぐに支払うよう指導しましたが、全く意に返さず「日本人従業員も同じ扱いをしている。技能実習生だけ特別扱いできない」とのことでした。
何度も専務に注意し、技能実習生の残業時間(実習生が取ったメモ)を突きつけ、出退勤はこの時間で問題ないかを確認。専務はおおよそこの時間で正しいことを認めました。
社長ともやり合いました。このままでは労基署に言う他無い。絶対に支払ってほしい旨伝えました。「お前の前任者からそんな話は聞いていない!現物支給しているじゃないか!」と怒鳴られながらも、なんとかほぼ全額払ってもらいました。
最低賃金が上昇したにも関わらず、賃金を上げない。上げろ上げろと言い続け、ようやく上げたときはすでに賃金改定から4ヶ月が経っていました。もちろん遡及して支払わせました。
対応:
監査報告書を外国人技能実習機構にすぐに提出。
口頭、メール等の文書で何度も注意をする。この内容も機構へ提出する。
遡及して支払った場合、領収書あるいは賃金台帳などで確認すること。その写しも機構へ提出。
下記は一年の変形労働制の場合です。
月に45時間以上の時間外労働を年7回以上行ってしまった場合、厳しく指導します。口頭、文面で指導し、その指導文書とともに監査報告書を外国人技能実習機構へ提出します。
特別条項で時間外労働の上限を延長できる月は6回までですから、4回、5回と続いている場合も、絶対に越えてはならないよう指導してください。
6協定の特別条項を違反してしまった後の外国人技能実習機構への報告
こちらも文書で指導をします。監査報告書とともにその文書の写しを外国人技能実習機構へ提出します。
軽微変更届ではなく、場合によっては変更認定が必要になります。すぐ外国人技能実習機構に相談してください。
大変危険な行為です。書類送検されます。
監査時、技能実習生から聴取したところ事実が発覚。すぐに企業に指導。当時旧制度でしたが、現行制度でしたら即監査報告書で報告してください。企業へは文書にて指導。指導文書の写しは機構へ提出してください。
過去記事でも書いたとおりです。
多くの企業さんが誤解しており、精皆勤手当、日本語能力手当、技能手当や会社独自の評価手当を支給している場合はそれらをすべて割増賃金の算定基礎に入れます。
これらは算定基礎から除外されます。
家族手当
通勤手当
別居手当
子女教育手当
臨時に支払われた賃金
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
住宅手当
参考:精勤手当、皆勤手当てなどは残業割増の計算に入れなければならない!
うちの組合の話でハリませんが、こんな事例もありました。
他にも強制貯金をしていた企業もマスコミに取り上げられていました。
対策として、入国後講習期間中に健康診断を行うようにしました。
配属後も雇入れ時の健康診断を行わない企業に関しては、厳しく指導しました。
1年のうち半分近く夜勤を行っている人は、必ず年に2回健康診断を受けなければなりません。監査時によくチェックしましょう。年に5ヶ月だからしなくてもよいという話では有りません。
詳しくは過去記事を御覧ください。
3~4ヶ月続けて夜勤を行う場合も年に2回健康診断を受けた方が無難です。
溶接など粉塵を吸い込む危険のある仕事はじん肺の健康診断を受けねばなりません。こちらは毎年では有りません。