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外国人技能実習生のリーダーを決めておこう!

 

外国人技能実習生が実習場所(工場、事業所)1箇所に4~6人程度であれば、特にリーダーを決めなくても、統制管理できます。しかし、10人以上となるとリーダーを決めておかないと実習生同士の上下関係が定まらなかったり、企業側から宿舎の利用、注意事項、社内イベントの通知などが徹底されないことがあります。

私は技能実習生の人数が15人を超えた場合、リーダーを立てています。

リーダーたる素質と資格

  1. できれば最年長者であること(実習3年目の26~32歳くらいが望ましい)
  2. 日本語がある程度できる
  3. リーダーシップを発揮できる人間
  4. 仕事がそこそこできる人間
  5. 責任感のある人間
  6. 衛生観念がしっかりしている人間

15人もいれば必ず一人二人はリーダーとなれる人材がいます。

最年長実習生

年をとっていれば良いということではありません。
ただ、中国人は年長者に対しては「兄貴」と呼んだり、儒教的な影響もあることから年長者を粗末に扱う事はありませんし、馴れ馴れしくしていても年上に対する配慮はしています。年が上でも尊敬されない先輩はダメです。月一回の訪問でも中国語で彼らと話していると、どの実習生がリーダーシップがあり、責任感があるかがわかるようになります。企業担当者は彼の仕事ぶりを毎日見ているので、勤務態度等企業からの評価を加味し、企業担当者と一緒にリーダーを決定しましょう。

1年、2年も経過すれば人間性もだいたいわかってきますし、「次のリーダーは彼にしよう」と目星がついてきます。

リーダーシップとカリスマ性

2DK~2LDKの部屋に2~4人の実習生が暮らしている宿舎が多いと思います。
リーダーシップがある人間が住んでいる部屋は大概綺麗です。掃除当番を決め、週1回程度ですが、共用部分に掃除機をかける、拭き掃除など簡単な掃除をしています。これに習い同室の実習生たちも掃除をするし、彼の決めたことには逆らわずに守っています。

  • 部屋替えをしても、彼が住み始めると部屋が見違えて綺麗になる。
  • 同室の実習生が彼を見習って掃除をするようになった。

などの現象が見えたら、その人をリーダーの候補者として検討しても良いです。

 

リーダーを決めることのメリット

実習生たちの生活管理がしやすくなる。
新人の面倒をよくみるようになります。

実習生同士のトラブルが起こった時も仲裁に入ってくれます。

宿舎の不備、生活面での不満、不安等を上手く吸い上げてくれるため、実習生側から企業への意思疎通がスムーズになります。リーダーの日本語力が高く、会社には言いづらいことも同国人のリーダーには言いやすいためです。

 

会社の意思がまんべんなく実習生たちに伝わる

中国人実習生の情報共有意識は非常に低いです。仕事面でも生活面でも「このことをちゃんと他の人にも伝えておいてくださいよ」とAさんに指示しても、間違って伝えたり、伝えなかったり。明日健康診断があるから、午後6時から日本語の勉強会があるからと伝えても、まんべんなく伝わらない。そのため企業や監理団体の担当者が、実習生一人ひとりに通知していく…なんてことありますよね^^?

一緒に寝起きしているのだから、伝言したことが伝わっているはずだと思っても伝わっていない。日本人同士だったら間違いなく伝える事項なのに…どうして?と不思議がる企業担当者さんをよく見かけます。

しかし、リーダーがいると劇的に変わります。リーダーに任命された責任感もあるし、会社の自分に対する評価を下げたくないので、任されたことはきちんとこなそうとします。

実習生同士がケンカした時の仲裁役になってくれる

当然個人差はあります。実習生同士が喧嘩した時、監理団体のスタッフが仲裁に入りますが、補助としてリーダーがいてくれると助かります。折り合いをつけてくれたり、リスペクトされている団長からの命令があれば矛を収めてくれることもあります。

実習生同士が喧嘩した際、他の実習生は我関せずの態度を決め込みますよね^^;あれが日本人である仲裁役である私にとって非常に辛いんです。

リーダーを置くデメリット

  1. 企業と実習生で軋轢が起こった際、リーダーを担いで団体交渉をしようとする
  2. 他の実習生たちがリーダーの日本語に頼る。日本語を勉強しなくなる
  3. 同国人社会の中で暮らしているという意識が高まる
  4. 同国人のものさしだけで生活しようとする

私の組合ではここ最近、リーダーを担いでの団体交渉は全くありません。
昔は賃金を上げろとか残業させろとか…いろいろ言ってきました。

中国人実習生の場合、数が増えてくるとチャイナタウンを形成します。別に売買をやっているわけではありませんが、日本の常識、風習、生活習慣などを一切受け入れず、「中国の社会常識だけでなんとか3年間乗りきれるんだ」という意識が生まれます。こうなると日本語なんて勉強しなくなります。「日本語はリーダーが通訳してくれる」と日本人との交流はリーダーに任せっきりにしてしまいます。

中国人社会の中で暮らしていると「日本人と我々は別。仕事だけしていれば文句を言われない」とある意味高をくくった態度で実習生活を過ごす人もいます。企業と実習生との間の溝がますます深くなっていってしまいます。企業側も実習生の一人が仕事でミスをしたり、生活面で問題を起こしたりすると「だから〇〇人はダメだ」と〇〇人と一括りしてしまいがちです。

以前は、Aさん、Bさんと実習生というカテゴリーがあってもきちんと個人として見ててくれたのに、人数が増えると人種で一括りしてしまうんですよね。企業と実習生の溝を深めないよう、リーダー以外の実習生に常に話しかけていくことが大事です。

 

リーダーに対してやってはいけないこと

リーダーになったからといって過度な責任を押し付けないことです。
現場での実習生のミスを、リーダーの責任にしないことです。生活面でのリーダーであって、仕事でのリーダーではありません。彼は上司でもなく、他の実習生は彼の部下ではありません。他の実習生の悪口や愚痴をリーダーに聞かせるのも控えましょう。

リーダー設置はメリットの方が大きいです。しかし、資質を伴わない人間をリーダーに立てると問題が生じかねないので企業と相談して良い人材をリーダーに立てましょう。

才谷大吾郎