「告示外特定活動」技能実習、特定技能以外の労働者を知っておくべし

技能実習適正化支援センター様より、目から鱗のニュースレターが届きました。
我々監理団体の人間は技能実習生事業や特定技能にのみフォーカスしてばかりで、その他の外国人労働者の事情にはあまり詳しくありません。

直接関わることのない外国人労働者かもしれませんが、知識として頭に入れておくことは非常に大事です。「告示外特定活動」の記事は大変参考になりました。いつも精力的な発信をされておられる渡邉 奉勝氏は、技能実習適正化支援センターのHPをご覧いただければ分かる通り、行政書士であり、外交官としての経験も豊富であり、多角的な視点で外国人労働者の現状を分析されております。

ぜひ、このブログの記事だけでなく技能実習適正化支援センターのHPも御覧ください。

以下、技能実習適正化支援センターのニュースレターの抜粋となります。

技能実習適正化支援センター:http://www.titsc.org/



このところ、在留資格「特定活動」が散見されるようになりました。
例えば、「特定技能1号への移行準備のための特定活動」です。
技能実習2号又は3号を修了した実習生が、特定技能1号でさらに日本に居続けるかどうかは本人にとっては思案どころに違いありませんが、悩んでいるうちに在留期間満了間際になってしまい、おっとり刀で「特定技能1号」に移行したいと決めても、その準備に時間的余裕がない場合が多いです。

その場合に、これから働く先で就労しながら、移行準備ができる「特定活動(4か月就労可)」への
在留資格変更許可申請が認められるようになっています。
つい最近まで、「コロナ!コロナ!」と言っていれば、「帰国困難の特定活動」で日本に居続けることができました。
日本にいるミャンマー人なら、「ミャンマー政情不安により緊急避難のための特定活動」を申請して、日本残留している者も少なくありません。実際、「帰国困難の特定活動(6か月就労可)」⇒「ミャンマー政情不安により緊急避難のための特定活動(6か月就労可)」⇒「特定技能1号への移行準備のための特定活動(4か月就労可)」とリレーした者もいます。

弊センターではZOOMを活用してオンライン相談ができる体制を整えています。
技能実習についてご不明な点があれば、下記のメールまたは電話からお気軽にご連絡ください。
添付した弊センターのパンフレット、チラシご参照ください。

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■ 1.「告示外特定活動」の存在意義 ■
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「特定活動」は、外国人の個々の事情に応じて特定して在留許可を認めている仕組みです。
実際、実生活において外国人の在留活動は多種多様であり、予めすべての在留資格を分類することは不可能です。「特定活動」は、「入管法で規定されている特定活動」(高度専門的な特定研究・特定情報処理活動及びその家族滞在の3種類)以外に、法務大臣が認める「告示特定活動」(現在第50号まであります)と「告示外特定活動」の2種類があります。いずれにせよ、「特定活動」は他の在留資格に当てはまらなくなった外国人が日本に滞在するための「受け皿」とも言えます。

「告示外特定活動」の中には、在留期間更新申請が不許可になった場合の「出国準備特定活動」や「留学生就活のための特定活動(6か月就労可)」や「本国にいる一人暮らしの高齢者親の呼寄せ特定活動」などがあり、やむを得ない事情を考慮した人道上の措置が多いです。
技能実習であれば、上記で取り上げた「帰国困難の特定活動」や「ミャンマー政情不安により緊急避難のための特定活動」のほか、

①技能検定等の受検ができないため次段階への技能実習に移行できない場合、
②実習先の経営悪化等のため技能実習が継続できない(次の実習先が見つからない)場合、
③技能実習から特定技能1号移行準備の場合、があり得ます。

法務大臣の決定で雑多な活動が認められるので、「特定活動」は、言葉は悪いが「掃きだめ」(業界の隠語)的に集められます。

なお、「告示外特定活動」は、海外から直接の認定申請はできず、日本国内にいる外国人のみ在留資格変更許可申請を行えます。
そうすると、短期滞在で入国してから、「告示外特定活動」に資格変更する方法はないかと聞いてくる人もいます(海外からなら、そんなワンクッションを入れずに、特定技能1号の認定申請をするのが筋ではありますが)。ところが、そうすんなりとはいきません。
短期滞在の在留資格から他の在留資格に変更するのは原則不可とする入管法の厚い壁があるからです。
しかし、全く不可能かといえばそうでもありません。
ウクライナ避難民が現地の日本大使館から短期滞在のビザをもらい、入国時に短期滞在の在留資格を得てから、「告示外特定活動(1年就労可)」に資格変更することが、それなりの合理的な理由に基づき認められています。同様に合理的な理由付けを行うことができれば、短期滞在から「告示外特定活動」への在留資格変更は不可能ではないとも考えらえます。

最近まで、フィリピンから観光で入国して、成田周辺の農家で短期間「出稼ぎ」就労さえ認めていたぐらいですから、許可の可能性は大きくなりつつあるのかもしれません。
ただし、入管を納得させることができるほどの合理的な理由を書き上げ資料を揃えるのは、行政書士などの専門家に任せることになると思います。

社会情勢は常に変化します。それに伴い新しいニーズが出てきます。
そのニーズに既存の法的枠組みで支え切れなくなると、そのニーズを拾い上げ取り込む受け皿が必要となります。
そこで有能な入管官僚が新しい制度設計に乗り出し、「特定活動」で事態を乗り切ろうとします。
これに対して、監理団体はどうすれば良いのでしょうか。答えは、野球と同じかもしれません。
「新しいルールが導入されたら、それにいち早く対応することがチームの生き残りに結び付く」と、
ある監督が語っていました。

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