Aさん32歳既婚男性
男性の中国人技能実習生が奥さんと子供を置いて日本に実習にやってきました。
彼は日本語こそろくすっぽ離せませんでしたが、明るく、気がきく、仕事もまあまあできるやつでした。
この企業、実習生たちに問題は少なからずありましたが、彼は問題のない実習生でした。
急に元気がなくなったAさん
企業担当者から「Aさんが急に元気がなくなった。誰かと喧嘩したのか?」と連絡がありました。元々巡回が数日後に控えていたので、すぐには訪問しなかったのですが、電話を受けてから巡回日まで彼はずっと出勤せず。
まずは企業担当者と面談。
- 最近上の空で仕事をしている
- 仕事のミスが増えた。
- 残業をしなくなった。
溶接作業をしている時にボーっとしていて、同じ場所に盛りまくってしまい不良品を出してしまった。精神状態が普通でないので会社が休むよう命令したとのこと。
奥さんが妊娠していた…
Aさんと面談。昼間っから部屋でゴロゴロしており、私が訪問した時はグウスカ寝ておりました。しばらくして目を覚ましたので面談。夜眠れずに昼うたた寝をしている状況です。
一体どうしたのか?仕事のミスや仕事を休んでいることは一切責めず、ひたすら聞き手に徹しようとしましたが…。
「ほっといてくれよっ!何でもないんだから!」
そうは言ってもずっと仕事を休んでいるし、精神状態が普通ではないので聞かないわけにはいきません。30分ほど粘りましたが埒が明かないので他の実習生に聞き込みに。40人ほどいる実習生たちに聞き込み。
彼と親しい数人から話を聞いてみると、
「中国においてきた奥さんが妊娠したらしい」
と揃って言っていました。
これはまずい…。
本人に確認するにしても聞くに聞けない問題。
「なんでお前が知っているんだっ!?」
と、ブチ切れられてぶん殴られるかもしれません。こうゆう人達ですからそうおいそれと聞いてはいけません。
企業に報告。
奥さんの妊娠も信憑性がありますし、ここ数日の不調も尋常では無いため帰国したいかを確認することにしました。
帰国するのが無難
再び技能実習生の元へ。
「Aさん。随分辛いようだけど…帰国したいかい?」
「帰国したい…」
即答でした。
企業も同意。翌日帰国することにしました。私が空港まで見送りし、その道中彼に本当のことを話してほしいと聞きました。
やはり、奥様が妊娠。すでに7ヶ月が経過していました。彼が日本に行く直前まで奥さんはシンガポールで出稼ぎ、帰国とほぼ同時期に彼が日本へ実習に。彼が満期3年で帰国したら賞味6年夫婦が顔を合わせないことになります。
そんなさなかに起こってしまった奥さんの妊娠騒動…。
彼の親御さんから報告を受けてからというもの、彼はずっと上の空。
「迷惑かけてすみません。ありがとうございました」
と言って帰国していきました。
メンタル面でのケアって必要ですね。
いくら私が中国語が話せると言っても、所詮彼らにとって外国人にしか過ぎません。派遣機関の職員にサポートしてもらうことも大切です。
実習生たちが日本で不倫したり浮気するよりもダメージがでかいですね。こういった痴話ネタは我々監理団体、受入れ企業、派遣機関ではどうしようもありません。予防策も何も合ったものではありません。
異変をいち早く察知すること。ことが起こってからの対応になるので、最悪のケースにならないように処理するのみです。