従業員が内部告発するような受入企業は危険!

 

危なっかしい企業…。
危ない企業を識別するのは、受け入れ前にある程度わかりますが、確認できるのはごく常識的な部分だけです。社会保険に入っているか。労使協定を結んでいるか。不法滞在の外国人はいないか。職種が合致しているか。工具、機械が揃っているか・・・その他諸々。

しかし、実際には受け入れてみないとわかりません。

 

1.親族と親族以外の人間の給与に圧倒的な差っ!

完全なる家族経営で、取締役以上がすべて親族だけで固められている。これだけならまだ良いのですが、親族だけが破格の給料をもらっている。身内以外の従業員の待遇が極端に低いパターンは危険です。

 

2.ワンマン社長

DQN社長は危険ですね。ワンマン社長でも良識があり、世の中のルール、労基法などある程度理解があればいざという時まともな判断をしてくれるのでしょうが、そうでないと何か法に触れるような問題が起こった時に監理団体は大変苦労すると思います。経営だけでなく、労務管理に関してもしっかり舵を切れるワンマン社長なら安心です。

 

3.外国人を差別する職員

外国人実習生を馬鹿にした態度を取り、日本語が理解できないと思って本人たちの前で悪口を言う。暴力行為等。悪口って完全に聞き取れなくても、視線や口調でわかってしまうものです。

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4.経理スタッフが超無能

故意かわかりませんが、しょっちゅう計算ミスをしています。監査の度に計算ミスをしていた企業がありました。給与計算ソフトを使えば良いのに、手動で計算していて、この分だと日本人従業員の賃金も計算ミスしていたはず。お金にシビアな中国人実習生ですら、30分程度の計算ミスを許容していました…。「あの経理(社長の娘)はいつも間違えるんだ。まあ、30分くらいいいよ」

 

5.有給休暇を取らせない

中国人実習生はほとんど有給を取りませんが、日本人従業員は家族の都合、リフレッシュも兼ねて有給休暇を取ることがあります。それすら許さない経営陣。これも従業員の不満を募らせてしまいます。

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他にも色々ありますが、従業員が内部告発するような企業は危険です。
家族経営のワンマン社長、親族だけは厚遇しておいて、従業員は使い捨て、労働環境も悪い企業は要注意です。私が担当していた企業でも従業員が内部告発して、労基がすっ飛んで来たことがあります。

私が危険企業と目をつけていたY社。受け入れてから1,2年は全く問題がなかったのですが、賃金計算ミス、資格変更、期間更新での書類準備をしない、しても書類がミスだらけ。毎回巡回する度に工場長、課長クラスがやめており、技能実習指導員の変更を度々していた時期がありました。

「あの工場長、給与アップを言ってきたから首を切ったわ」
「課長が家族の都合で有給くれって言ってきたけど、やらんかった。なんで仕事サボる奴に給与払わなイカンの?」
「この前も3人位お盆休暇に合わせて1日有給欲しい言ってきたから断ってやったわ。そしたら辞表叩きつけて笑ったわwww」

ぐわ~・・・。これじゃ日本人従業員なんて働きたがりません。
何よりびっくりしたのは、実習生の在留カード期間更新で実習生の1年分の賃金台帳を所望したところ、届いたのが全日本人従業員の賃金台帳!!

社長以下給与が記載されており…。社長は100万以上、親族取締役クラスは60~90万円。親族だけど経理や総務の従業員ですら40万以上。方や一般ピーポーの工場長、課長級はというと、大学新卒者に毛が生えた程度の手取り額。肩書きなしの一般社員はもっと悲惨でした。もしかして、日本人従業員も最低賃金で働いているのでは…と思うほどの落差。

実習生達もその企業のいい加減な給与計算、日本人従業員の離職率のあまりの高さに、危機感を抱いており、「また工場長が変わったけど、この会社大丈夫かよ…」と言っていました。私の方から、何か不穏な動きがあったり、労基署の立ち入り監査があったら絶対に私に伝えるように言い渡しました。

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ある日、実習生から連絡が入り「労基署の人からインタビューを受けた」と。
たまたま巡回日が3日後だったので、実習生から連絡を受けたことは伏せながら、「最近労基署などは来ませんでしたか?」とさり気なく、しかし、何度か違う角度から攻めつつ聞いてみたら、「入りました」と回答がありました。

 

労基署から是正勧告書ももらっており、なんとその項目40以上!!!!

配線の安全管理が不徹底、有機溶剤への安全対策ができていない、高所に安全柵が設置されていないなどなど・・・どう考えても内部の者しかわからない細かな違反が散りばめられていました。企業担当者によると「この前辞めた3人だったかもしれない」とのことでした。多分ではなくて絶対だと思います。

その企業で受け入れている実習生の職種は溶接。
実習生達は玉掛け作業の講習を受けさせていましたが、クレーンは5t未満なのでクレーン教習所等での講習でなくても、社内における特別教育で十分です。企業に確認したところ特別教育は実施済みとのことでした。書面で特別教育の記録をとっておくように。クレーンの操作を教えただけでは教育になりませんと伝えたのですが…。

労基署からは「従業員及び技能実習生にクレーンの特別教育を行っていない」と書かれていました。書面での記録が全く無かったのですね…。企業は慌てて教育を行うため、クレーンのテキストと問題集を購入。それを「3日後までに中国語に翻訳してくれ!」と私に連絡がありました。

この人達は自分たちのものづくり以外の仕事は、すべてタダでできると思っているのか、翻訳などは机に座ってできることだから無料でやれという考えなのでしょう。テキスト量も多く、難易度も高いので、もちろん有料で対応。

翻訳料をしっかり取って対応しました。

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もちろん、クレーンの特別教育をしていなかった事実は入管へ即報告しました。
労基署からの是正勧告書の中で、実習生に触れていたのはこのクレーンの特別教育だけだったのが不幸中の幸い…といえなくありませんが、クレーン特別教育を未実施という扱いなので、かなり思い労基法違反でしょう…。入管からは特別な注意はありませんでしたが、この時は冷や汗モノでした。重い一発ですよね…。

労基署から是正勧告を受けると、受入企業の顧客からの信頼がなくなります。特に大手メーカーはその点非常にシビアです。同族経営のこの企業さんはいまいちこの点においても危機感が足りません。

それにしても、是正勧告書に書いてあった内容は非常にピンポイントでした。内部の人間にしかわからないことだらけでしたから・・・。それだけ多くの元従業員に恨まれていたのでしょうし、現職員からも恨まれているのでしょう。このような企業が実習生の受入を行うのは、監理団体としても非常に不安です。もうすでにこの企業と取引はしていません。受入の話がありましたが、お断りさせて頂きました。
ブラック企業への受入はNO!!!

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