外国人技能実習生は帰国後技術を活かせるのか?

外国人技能実習生制度は、技術を学ぶのは建前で、実際は日本の製造業の労働者不足を補うもの…と言われて久しいです。私も何年も監理事業を行って来ましたので、実感しております。

多くの企業において、第一のメリットは安定的な労働力確保であることは間違いありません。

しかし、それが悪ではないし、日本語能力を身につけ、日本の製造業の管理方法を実体験し身につけたのであれば、彼らにとって帰国後も大きな武器になります。

習得する職種によっても差がある

中国人実習生を例に上げてみます。

今まで、私が監理してきた企業の実習生で、帰国後も技術や日本での経験を活かして就職できた職種は下記のとおりです。

  • 溶接
  • 機械加工 フライス盤
  • 機械加工 旋盤
  • 金型仕上げ

日本でしっかりと実習した者たちは3つの武器を持っています。

  1. 日本語能力。
  2. 日本式の現場管理を知っている。
  3. 日本人の性格や特徴、望んでいるものがわかっている。

合弁企業、日本向けに製品を輸出している企業では、日本企業からの要望が強く、現場管理、労務管理について日本式を採用している企業が多いです。日本の顧客に安心してもらう、信頼してもらうためには日本式の現場管理、マナー、5sは必須です。

日本企業は頻繁に中国の取引先に出張し、生産ライン等を視察しています。
中国企業にとって、日本の現場管理を知っている人が心強いし、日本企業にとっても受けが良いだけでなく、安心できますよね。

「李さんは日本語はまあまあだけど、仕事ができるし、取引先に就職してもらったよ」

なんてケースがいくつもあります。

 

日本の現場を知っている元実習生は頼もしい

特に、機械加工の旋盤、フライス盤は、実習では2台以上を一人で操作します。中国では一人一台。若しくは二人で一台です。仕事の効率、不良品を見分ける技術などが日本と中国では求められるレベルが違います。

日本で学んだ現場管理、機械操作能力を発揮し、日系・合弁企業に務められたらまさに技能実習制度の鏡となります。
溶接についても技能移行試験の基礎級以外に、いくつも資格を取得して帰国した実習生たちが大勢います。資格保持者であれば、中国でそこそこの給与で採用してくれます。

日本語を話せる中国人はたくさんいます。留学経験者、中国の大学で4年間日本語を学んだ中国人でも、現場管理や製造業の人間の考え方まではわかりません。満足する現場管理を実践できる元実習生たちはかゆいところに手が届く人材です。
溶接職種の実習生は、脳筋系の日本語を覚えない、出稼臭全開の人が多いですが、日本語能力が覚醒した人は帰国後良い就職先を見つけています。

帰国後も元受け入れ企業にとってメリットのある人材になれたら、監理団体としても嬉しいし、まさに監理団体冥利に尽きます。

また、日本で身につけた技術を直接生かさないまでも、日本語能力が買われて派遣機関に就職した人、留学生として再来日し卒業後日本企業に務めている人もいます。

帰国後の技能実習生 成功例とも言えるホッとして嬉しいと思った彼らの進路

こういう陽の部分もマスコミで取り上げていただきたいものです。

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