実習実施機関(受入企業)への巡回って何をするの?

巡回・監査を派遣機関の駐在員に完全に丸投げしている監理団体さんもいるようですが…そういうのはやっぱりやめたほうが良いですよっ!

団体監理型の受入れにおいては, 技能実習は「監理団体」の「責任及び監理」の下に行われます。

技能実習1号が在籍しているのであれば毎月1回の巡回に加え、3月に1回の監査を行います。
2号のみの在籍でしたら、3月に1度の監査でも差し支えないようですが、ウチの団体では2号のみの在籍でもなるべく1月に1度は行くようにしています。忙しい時期、他企業でトラブルが発生した場合は、2号のみの企業の巡回は2月に1度になることもありますが。

技能実習1号の技能実習実施計画は監理団体が作成します。まあ・・・2号以降も私達がたたき台を作って会社にポンと印鑑を押してもらうパターンが多いですけどね。その実習実施計画に則って実習が行われているかを確認します。

とは言え…私も含め巡回する監理団体職員のほとんどが、受け入れ職種についてド素人です。
それでも最低限のことは確認できます。必須作業と安全衛生作業を行っているかどうかです。私の場合、担当している企業さんの職種が機械加工、溶接、金型等のわかりやすい鉄関連の作業なので、必須作業や作業中に使用する機械(必須)を使用しているかは簡単にチェックできます。

現場に直接赴いて技能実習生にインタビューするので、現場視察もできて一石二鳥です。

「監査はともかく、巡回は派遣機関の駐在員に任せても良いんじゃね?」

良く聞く話ですね。組合の名刺をもたせた駐在員に行かせる。しかし、『技能実習生の入国・在留管理に関する指針』では、

これらの団体が名目のみ監理団体となり, 実際の「監理」は他の機関が行うような場合は,当該技能実習は監理団体の「責任及び監理」の下に行われているとは認められず,不適正な受入れとなります。

とありますから、監理団体以外の人間が受入企業を巡回するのは、受け入れる資格なし!ということなのです。




企業担当者とともに成長していく

なんだかちょっとかっこいい言い回しですが^^;。長年外国人技能実習生を受け入れている企業さんの担当者は百戦錬磨で、実習生たちが殴り合いの喧嘩をしようが割と冷静に対処される方が多いですね。

しかし、受入企業さんの担当者がすべて猛者とは限りませんし、初めて実習生を受け入れる企業さんにとっては、日本語がほとんどできない外国人技能実習生を受け入れるのは相当なプレッシャーです。腫れ物に触るように接する人もいらっしゃいます。

技術指導員については主に技術を指導するので役割分担としては非常にわかりやすいですが、大変なのはむしろ生活指導員の担当者様です。

生活全般ですから、技能実習生たちから様々な要望、質問をされます。

  • 宿舎のインフラ整備
  • 食器、家具、日用品について
  • 体調不良による病院引率

生活指導については、入国前の実習生活の心得を叩き込んであるので、そこに書いてある内容を軸に指導しておけば良いと思います。生活指導員といっても何をどう指導していいかわからないので、安全衛生管理、宿舎規則、就業規則、休日の過ごし方、プライベートでの注意等を指導する際に監理団体はサポートしてあげる必要があります。通訳はもちろんですが、他企業の例や実習生に起こりがちなトラブル、質問、要望に対する対応などです。

 

 

企業担当者との面談

現場の技能実習指導員との面談

指導員から受ける主な指摘

  • 技能実習生の中で仕事の覚えが悪い。
  • よく遅刻をする。
  • 指示通りに動いてくれない。指示を無視する。
  • サボる。

ひとりずつ呼び出して指導します。
監理団体職員と実習生とのサシで話し合うのも良いのですが、最も効果的なのは企業、監理団体、実習生の三者で話し合うことです。注意したことはダイレクトに伝わりますし、監理団体職員と二人きりの時と違って減らず口を叩いたり、言い訳をべちゃくちゃすることもありません。

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遅刻をする原因を探る。
最近はネットも普及しており、ほぼ100%彼らの宿舎にはネット環境が整えられています。
家族とのビデオチャットなどは問題無いですし、日本での実習生活における精神バランスを保つためにも必要なことです。しかし、最近増えているのはオンラインゲームに没頭してしまうことです。

  1. 日本語の学習意欲が絶望的に低い人。
  2. 出稼ぎ気分で来日している人。

彼らはオンラインゲームにハマりやすいです。どうせテレビを見ても何もわからない。日本に知り合いもいない。

出稼ぎ気分で来ている人は一見仕事ができそうな感じしますが、仕事すらできていない人が多いですね。言われたことだけやるという精神で仕事に向き合っていますが、何を言われているかわからないのでミスは連発する⇒ミスが多いと残業時間も減る⇒収入が減る⇒モチベーションダウンにつながります。まさに負のスパイラルですね。



上記問題を抱えている実習生に共通するのは日本語力の低さです。

技能実習生の日本語教育。配属後にも日本語学習を継続させよう!
生活している国の言語を理解できないのは苦しみです。彼らは同国人と群れて、日本人との交流を遮断しているのでストレスフリーだと思っているようですが、病気になったり、銀行へ行って送金作業をする際に大きな無力感に打ちのめされます。この辺をわからせてあげましょう。

また、現場の担当者から実習生の問題を指摘されて、それを伝えるのは良いのですが、現場で問題が起こった日に指導員から直接本人に指導をしたのかも確認しましょう。

「言葉が通じないので監理団体の方が来るまで何も言わなかった」

という指導員も中にはいます。訪問日の2,3日前に起こったことなら、指導しても効果はありますが、2,3週間前に起こった出来事を言われても本人はピンときません。自覚があれば良いほうです。ヘタすれば忘れています。

企業の指導員には「言葉は通じなくてもいいから、日本語で指導して欲しい」旨伝えましょう。言葉がわからなくても、仕事でミスをした。会社を困らせた。損害を与えてしまったことをすぐに自覚させることが大切です。このような自覚がないと人間成長できませんし、仕事もうまくなりません。

 

生活指導員との面談

生活指導員からは問題を提起されることが多いです。
ゴミの分別、宿舎の使い方、有給休暇の取り方。日本語学習。実習生の体調管理等が多いです。
生活に関する問題を少なくするには、事前の訓練、入国前の実習生活の心得をしっかり聞かせておくことで問題も起きにくくなりますし、また、起こった際もすぐに聞き入れてくれます。

これはまた別項でも書いていきたいのですが、実習生の素行、精神状態、家族関係についても注意したいです。一度も一時帰国することなく3年間言葉の不自由な異国で実習をするわけですから、ストレスによって体調を壊したり、精神的に不安定になることもあります。

 

実習生との面談

技能指導員や生活指導員から指摘を受けたことを伝えます。
どうやって改善させるのか、問題の原因と経緯は何なのかを追求しましょう。
出来れば上述したように、企業担当者の目の前で改善策を伝え、原因等も説明させた方がより効果的で、再発防止につながります。

また、彼らから生活、日本語、不満、要望等を聞きます。
たいてい問題はありません。自転車が壊れた、炊飯器が壊れた等の問題程度です。時々、両親が命に関わる病気にかかり、余命幾ばくもないなど相談されることがあります。一時帰国については会社との取り決めもあるので、慎重に行っていきましょう。
実習生全員に対して注意をするのは効果的なのか?

問題のある実習生に対しては個別に指導します。
なぜこんな当たり前のことを言うのか、それは受け入れている技能実習生の数が多いとつい全員を食堂やら会議室に集めて指導する形をとってしまいがちです。それだと時間の節約になりますが、全員に行き渡りません。全員で聞いていると、ターゲットである実習生に対して話しているつもりでも、彼は自分のことと自覚することなく、注意したことなどは右耳から左耳に吹き抜けていくだけです。

 

宿舎の巡回

宿舎も巡回しましょう。

  • 部屋の清掃、整理整頓は行き届いているか。
  • 会社が提供した備品(家具、家電製品、自転車など)を破損していないか。

部屋については以前書きましたので、こちらをご参照下さい。

警戒信号!実習生の部屋が荒れている!それは喧嘩への序章…部屋の乱れは心の乱れ!

巡回の流れは、企業担当者と面談し実習生の問題点について明らかにする。その後実習生と面談されると企業の意向がより実習生に伝わりやすいです。逆に実習生から先に面談してしまうと、企業から実習生への意向が伝わりませんし、また実習生を呼び出すために時間と労力が費やされてしまうからです。


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