入国前、配属前の事前講習って何をやっているの?

外国人技能実習生受け入れ中の企業さん、組合さんならすでにご存知の内容でしょうけど…。日本語がまったく出来ない実習生たちがどんな訓練を受けているのかは、実習生を受け入れていない企業さんにとっては気になるところだと思います。
中国の派遣機関を例に書いていきます。

外国人技能実習生を受け入れるには、彼らの母国で日本語及び日本の生活に関する知識等を一定期間学ばなければなりません。まあ、この一定期間というのは、団体受入型か企業単独型か、企業の1年間の総労働時間によって若干異なるのですが…細かいので詳細はJITCOのページをご参考にしてください。

外国人技能実習制度とは | 外国人技能実習制度の円滑な運営を支援 | JITCO - 公益財団法人 国際人材協力機構(旧:国際研修協力機構)
公益財団法人 国際人材協力機構(JITCO):外国人技能実習制度は、1960年代後半頃より始まった、海外の現地法人などの社員教育の研修制度を原型として1993年に制度化されました。JITCOは、開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄...



派遣機関の教育機関での学習内容

今回は実際にどんなことをお勉強しているかを書きますので、制度の部分は端折らせていただきます。

ざっくり言うと日本語等を母国で176時間程度勉強しなければならないのです。
176時間と言ったら、1日8時間で22日間程度です。
たったこれだけで日本語の基礎を覚えるのはほぼ不可能です。発音練習、ひらがな練習をしたらタイムアップです。

1.軍事訓練

軍事訓練を1週間~2週間行っています。
みんな軍服を来てひたすら体力訓練です。ジョギング、腕立て腹筋などの基礎的な筋肉トレーニングを行い、心身を鍛えます。軍事訓練なので当然教官たちは元軍人。軍人と言っても予備役で、2,3年の軍役についた人たちです。
ここでは心身、さらに集団行動の大切さ、一人が駄目だと全員の足を引っ張ることになる事をしっかりと教えています。日本の企業現場では特にチームワークが重視されるので、個々人がバラバラに働く無秩序な中国気質で日本で働くと、現場に悪影響を与えることまちがいなしです。マインド的な部分をビシバシ鍛えています。

 

2.日本語教育

私達が契約している派遣機関では3,4ヶ月間訓練を行ってもらっています。
発音、ひらがな、カタカナ、簡単な挨拶、初歩的な文法、簡単な自己紹介ができる程度です。レベルで言うとN5ギリギリです。

授業プラス独習で、且つ感の良い子ですとN4クラスのレベルで入国してくる場合もあります。稀ですけどね。また、趣味で日本語を一定期間学んできた人がいて、すでにN3レベルで入国した人もいました。

 

3.日本の生活

日本ではゴミの分別、生活様式、マナーが中国とはまったく違います。
ゴミの分別の仕方は地方自治体によって若干異なりますが、可燃物、非可燃物、粗大ごみ、資源ごみのくくりは全国共通しているので、その分別方法を実践的に学ばせています。

企業が手配してくれる宿舎に関しても、和室が多く畳の部屋を利用することが多いです。畳なんて彼らは触れたことも無いので、もしぶっつけ本番だったら戸惑いますよね?畳の掃き掃除の仕方、布団出し入れを学びます。中国は基本的にベッドですから、マットを敷いてその上に敷布団を敷く、布団の干し方…などを徹底的に教え込みます。



4.その他のマナー

食事のマナーについても教えています。口に頬張ったまま話をしない、クチャクチャ音を立てない、肘をつかない…。公共の場では大声で話さない、携帯電話を電車やバス内で使用しない。日本人と話すときには「ああ?」と聞き返さないことなど、細かいことですが、日本人に誤解を与えるような行動をしないよう指導しています。

派遣機関での訓練と言っても思い切り手抜きをする学校もあるのでご注意を!
日本語教育を一通りやるだけで、マナーや軍事訓練を行っていないところは避けた方良いでしょう。私は新しく契約する派遣機関については、訓練学校も視察しています。

と言っても、結局は実習生個々人のやる気が大事ですし、また、きちんと訓練を行っていない中国の中小の派遣機関は淘汰されつつあり、生き残っているのはそこそこの規模で教育施設と教育が充実している学校ですね。

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来日後、日本での1ヶ月間の配属前研修は?

日本国内での1ヶ月の訓練はというと…学校によってまちまちです。タイプとしては大きく3つに分けられます。

また、実習生制度のルールとして、消防訓練、警察の交通法規の講義、行政書士等からの入管法、労働法について講義を受けなければなりません。

1.日本語学校タイプ

日本の大学を受験する前に、日本語を徹底的に訓練する専門学校。
中国人、韓国人留学生がたくさん通っているいわゆる日本語学校です。講師陣が充実しており、中には外国人技能実習生に対しても講義を行ってくれる学校もあります。

私の所属する組合も日本語学校に依頼したことがあります。
日本語教育については…やはり微妙でした。何故かと言うと、3名入校しても彼らのレベルにあった授業をするのではなく、彼らより早く入校した実習生たちのクラスに混ざるため、テキストの途中から開始ということになります。

1ヶ月間と短いですが、教え方は一流だと思います。

 

2.体育会系の学校

軍事訓練を朝夕行う体育会系のノリ!
早朝5時起床。挨拶、筋トレ、掃除を行い6時半から朝食。
8時から17時頃まで日本語の授業を受けたあと、再び筋トレ。掃除、大きな声で喉が枯れるまで、いや、潰れるまで大声で日本語の教科書を朗読。

声が出ていない者、上達が遅い者に対しては罰ゲームの筋トレ!

上下関係や日本企業の秩序に耐えられる人間を育てることを目的にしています。1ヶ月の付け焼き刃なので、実習に突入すると緊張感が解けてしまいますが、監理側として継続して教育していきましょう。



3.ダメダメな学校

とにかくゆるい!体力訓練もなく、日本語教育も厳しくありません。
宿題もなく、忘れたからといって罰ゲームもなし。日本の習慣についてのレクチャーもなし。

ひどい場合は自習ばかりで講義をしないこともあるとか・・・実習生談
校長先生が女の実習生に手を出したこともあったりとか…。

外国人技能実習生を愛人にしてしまった校長先生

事前講習は期間が短いのでどこも同じと思ったら大間違いです。
やれることが限られているからこそ、短い期間に充実した研修を行ってもらいたいものですね。

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