刃物とビール瓶で激突!実習生の喧嘩は基本的に凶器使用が基本です

またまたケンカの話です^^;

外国人技能実習生を受け入れたことがない企業さんが心配することの一つとして、「実習生は喧嘩するか?」があります。監理団体の多くの方は「いえいえ大丈夫ですよ。なきにしもあらずですが、何かあったら我々が対応しますので」と上手く回答していると思います。もしくは「いえ!一切ケンカなど起こさせません!」と高言している人もいるかもしれませんね(笑)。

私の場合かなり正直に答えています。

「頻繁にはしませんし、なるべくケンカをしないような大人しい人を選抜しています。何年か受け入れを続けていれば、小競り合い程度のケンカは起こります。ケンカをしたらどんなデメリットがあるか、日本ではすぐに警察沙汰になることなどを事前に教育しています」

「巡回時にもなるべくケンカの元となりそうな芽があったら摘むようにしています。殴り合いのケンカになったら帰国させると実習生に伝えてあります」

やはり、日本と比べてモラルの低い国からやってくるわけですから、興奮して手を出してしまったなんてことはあります。日本も昔はケンカっ早い人なんてたくさんいたでしょうし、豊かになるにつれて殴り合いのケンカなんて減っていくものです。ケンカに関しては予防が大切ですし、もしケンカした場合の罰則などを繰り返し言い聞かせていくことです。

 

しかし…どんなに気をつけていても起こる時は起こるのです。

ある企業の巡回では終業後に宿舎を訪問しなければならず、実習生の数は15人。2DKの部屋に3人ずつ暮らしており、特段大きな問題はありませんでした。ひと部屋ずつ周り、3部屋目の訪問を終えた時のこと。

民間アパートを借り上げており、A棟に9人、B棟に6人住んでおりました。A棟の部屋で実習生と話しているとB棟の実習生が血相を変えて叫びながら走ってきました。

「ケンカだっ!刃物持っているぞ!」

実習生たちと一緒に駆けつけると、

 

大仁田厚さんっ!?

 

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額から血を流した実習生が!中華包丁を持って息を切らしていました。身体にはガラスの破片もくっついているし…もう一人は…喧嘩相手はどこへ行った?!

宿舎の玄関付近は血だらけだし…。

 

わけがわかりません。有刺鉄線デスマッチを終えた大仁田状態になっている実習生に聞くと、「逃げたあ…」とのこと。喧嘩相手と彼らと同室の実習生もいなくなっていたので、もしかしたら会社へ行ったのではと思い会社へと向かいました。会社から宿舎までは徒歩2分程度です。

二人は救急車を呼んでもらうために会社へ行っていました。
会社に着くと二人を発見。事情を聞くと口論から殴り合いへと発展。大仁田が刃物を持って脅してきたので、もう一人の実習生(Bさん)が空のビール瓶を持って身構えたら、そのまま取っ組み合いとなったそうです。

Bは大仁田に肩、腕、頭を斬りつけられ、大仁田はBにビール瓶で頭をかち割られ…。同室の実習生Cはイヤホンをつけて(大ボリュームで)オンラインゲームに夢中になっていたのですぐに気づかず、Bが重症のように見えたので、Bを連れて会社へ行ったとのこと…。

 

119番…そして拘留へ

それからまもなく救急車が到着。すぐにパトカーもやって来ました。
119番をするとパトカーも駆けつける世の中です。屈強な制服警察が二人。二人は救急車で搬送され、残った我々が事情を説明。

ここからが不眠不休の対応となりました。参考人として私と実習生数名、企業担当者も警察署に呼ばれて事情聴取。二人の怪我の手当が終わり次第話を聞くとのことでした。大仁田の治療はすぐに終わり、警察に連れて行かれました。Bの傷が深かったため、翌日外科へと引率しました。

「随分傷も多いし深いようですが…警察の事情聴取に耐えられますかね?」

「大丈夫ですよ」

と医者が太鼓判。1週間後に傷の様子を見るのでその時来てくれれば大丈夫とのことでした。警察に連絡すると「それならすぐにBを連れて来て下さい」とのことで移送。

私と事件時に周辺にいた実習生たちは、刑事から何度も何度も同じ質問を受けました。
ケンカの原因はタバコでした。大仁田はタバコを吸うのですが、Bはタバコの臭いが全くだめ。タバコを吸うのなら必ず外で吸うように言いつけていましたが、この日はとても寒かったので部屋の中で吸っていたそうです。

Bが注意したところ大仁田が激怒。
そこから大げんかに発展したんですな。

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実習生が住んでいた民間アパートには、日本人も住んでいましたが、不幸中の幸いで全くクレームが寄せられませんでした。もちろん企業さんと一緒に謝罪に伺いましたが、「あ、そうすか」と全くの無反応。「変わった人」のようで、これだけの事件が起こっても我関せず、全くの無関心でした。

小さな子供いる家庭だったらとんでもないクレームが来ていたかもしれません。

事件発生から3日目までが一番忙しかったです。
その後、彼ら二人は拘留され…殺人未遂罪として2ヶ月拘置所に打ち込まれてしまいました。さらに地方検察庁で取り調べを受け…。
警察に日々事情聴取を受けていた時は疲れましたが、拘留されてからは正直ホッとしました。

 

ケンカの芽はすぐに摘み取るようにしよう!

2ヶ月後、彼らがお勤めを終えて出所。

こちらは黙って彼らの身柄を引き取り空港へ。引き取ってからすぐに空港へ向かいました。普段つきあいのある旅行代理店に「中国のどこでもいいから、すぐに乗れるフライトを!」と速攻で購入。夜だったのですが、中国の地方都市行きがあったので乗せました。

彼らの故郷とは離れていましたが仕方ありません。
起きてしまったことはしかたがないので、事後処理として監理団体の職員は走り回ること。事情聴取、実習生の病院から警察への移送など出来る限りのことはすべてやることです。こんなケンカで受け入れを諦めてほしくないですよね。

正直、実習生のケンカなんてポツポツあるものです。それが大きいか小さいかの問題です。極力ケンカの種を潰していくことが大事です。

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