有給休暇を実習生に取らせない企業への対応

監理団体とは非力なもんですな…。

いち担当、団体全体で企業に実習生に関する不正な行為を止めようと努力しても、聞く耳を持ってくれない企業ってありますよね。だからと言って諦めてはいけません。例え、その企業を改善できなかったとしても、繰り返し繰り返し訪問し、繰り返し繰り返し指導する。繰り返し繰り返し報告書を書きまくる。

 

技能実習生に有給休暇を取らせない企業がありました。
先輩のダメ社員から引き継いだばかりのブラック企業。この企業とは様々な案件でぶつかっていました。有給休暇を与えない件はその一つに過ぎません。

うちの前任がダメダメでしたので、巡回訪問する度に「開けてビックリ玉手箱」気分でした。心臓に悪い企業さんでしたよ…。




有給休暇について知ったのはJITCO巡回の時。
健康診断の有無、賃金台帳、実習記録などなどをチェック。これは特に突っ込まれなかったのですが…一通り終わると「実習生へのインタビュー」がありますよね。JITCO職員と実習生の代表との一対一のガチンコ勝負^^一枚紙を渡されて、その質問に答えながら進めていきます。

私たちは別室で待機。
終了後にJITCO職員に呼び出されました。

「ここを見て欲しいんだけどね…有給休暇をもらっていないようなんだよ…」

ヒヤリとしている企業担当者。実習生は「有給休暇の存在そのものを知らなかった。有給休暇って何よ?」と中国語で質問してきました。有給休暇について説明してあげました。彼はこの前安めと言われたのに欠勤扱いされたと話し始めました。それは後で聞くからと、一旦彼を下がらせてからJITCO職員に対応。

有給休暇についての説明不足であったことを企業は認めましたが、JITCOも有給休暇取得の実績など深追いはせずに帰って行きました。

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驚いたのは私です。欠勤扱いしたとあっては大問題です。この企業も多くの実習生を抱えていましたからね…。欠勤扱いされたのは2件3件の話ではないはずです。欠勤扱いのことを企業に伝えるとすぐに認めやがりました。

その日、宿舎を訪問すると実習生の一団に囲まれました!

「なぜ、我々には有給が適用されないのか!!!」

と全員から不満声が上がりました。

簡単に有給休暇について説明しましたが、多分理解できた人はいないと思うので、次回訪問時に資料を配布してプレゼンを行いました。欠勤処理されてしまった案件を一つ一つ聞いたら10件ほどありました。誤解もあるとしても4件はあるな…と思いつつ翌日企業へ確認。下記のように状況でも有給休暇をもらえなかったとのこと。

  • 勤務中、風邪で体調不良でダルそうにしていたら安めと言われた×4件
  • 銀行送金のために休みを申請した時

などなど。
企業に確認したところ、一部は認めていました。実習生も話を盛ったところもあるのでしょうけど、1件でもあったらアウトです。

企業の言い訳としては、

  • みんな皆勤手当を欲しがるので有給を取りたがらない
  • 退職時に有給休暇を買い取っている。有給休暇を使うと買い取り時の額が減るから休みを取らない。
  • 休んだのに給与を貰えると思われるとみんなサボるから

 

ド、ドッキューンっ!?

一昔前の実習生受入企業っぽい理由でしょ^^;?

「あのねえ…」といいたくなりますよねえ…。

総務部長にもこの件を伝え、すぐに是正するようきつく伝えました。社長へも伝えるとのことでしばらくしてから解決へと向かって行きましたが…。了承してもらうのに2ヶ月ほどかかったし、その間3回以上同社を訪問していました。

訪問、指導内容については報告書にまとめました。

入管からうちの団体に抜き打ち監査が入った時のため、もしくは同社に監査が入った場合、これらの報告書が監理団体を守ってくれます。監理団体への不正行為処分だけは免れたい…少なくともダメージは軽減してくれます。また、JITCOへは企業名を明らかにして現状を報告しました。こちらからJITCOに相談しても、入管へすぐに通報されることはほとんどありません。よっぽど悪どいことなら別でしょうけど…。相談した件も報告書に残しておきます。入管から監査された時に、「こ、ここまで…監理団体はやっていたのか…」と思ってもらうためです。

有給休暇を取らせない企業ってまだまだあると思います。特に建築関係は多いですね…。有給買い取りも労働法においてはアウトですからね!買い取りをしている企業さんがったらやめるよう指導しましょう!


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