ちょっと前の話ですけどね。
中国人実習生の女の子同士が喧嘩しました。
始めのうちは口論で私に報告してこなかったのですが、ある日の夜実習生から電話がかかって来まして、
「Aさんが私の悪口ばかり言ってくる。もう耐えられない」
まあ、よくありがちな喧嘩です。
風呂の時間が長いとか、お湯を出しっぱなしとか、掃除当番をサボるとか、大声でQQチャットをしているなど…些細なことが積み重なって爆発した口論です。たまたま翌週巡回だったので、問題の実習生3名を呼び出して説教をしました。
説教と言っても、喧嘩を収めようとするときの常套句ですが…。
- 喧嘩(暴力)をした場合はすぐに帰国と誓約書にも書いたはず
- 同じ国でも生活習慣が違うし、譲歩しあうこと
その他、細かい生活面での不満を聞き、声が大きい実習生には声を小さくしろ。お湯を出しっぱなしにするな。掃除当番を守れときつく言い渡しました。
その後は、
- 日本に来た目的は喧嘩するためではないでしょう。
- 途中帰国となったら今まで投資してきた分(中国の訓練期間の学費等)が無駄になる。
- 中国で再就職先が簡単に見つかるのか
- 君たちを日本に送るために両親ほか親戚がどれだけ苦労したのかを考えなさい
などなど…常套句ばかりでしたが収めました。ひとまずね。
ですが、一度で終わらないのが女性の喧嘩。
口論から引っかき合い、つねり合いにまで発展したので企業へは、部屋を交換するかこれ以上ひどくなるのならば帰国も検討した方が良いと話しました。もちろん、この間私は2,3度実習生寮を訪問して彼女たちを説得していました。
この間、彼女の奇行が目立ちました。
- 昼休憩時に大声で叫ぶ。誰も彼女の悪口を言っていないのに、悪口を言った!と、パートのおばさんに詰め寄る。
- 私のお弁当がない!と叫んだ。休憩室にあるレンジで自分で弁当を温め、それを置きっぱなしにしていたのを忘れていただけなのに…。
- 「勤務中、実習生BとCが私の悪口を言っている!」と企業担当者にチクり。しかし、現場に確認すると3名の現場はバラバラであり、3名が会話したのを目撃した人はゼロ。
被害妄想がひどくなっていました。そして、ある日。企業から連絡を受け、
「Aさんが包丁を振り回している!」
とのこと。すっ飛んで現場へ急行。
本人も包丁を振るった事を認めました。幸い誰も刀傷を負ってはいませんでしたが、BさんとCさんが首と肩を殴られたのか小さな痣ができていました。
実習生BとCが言うには、殴られたのでやり返そうとしたら包丁を抜いて来たとのこと。後ほどAに確認したら「護身用」として100円ショップで包丁を購入していたとのこと。
私は企業との相談を待たず、
「すぐに帰国させましょう」
と、進言しました。当日は手続きの関係上不可能なので翌日帰国させることに。彼女を取り敢えず他の実習生の部屋に置き、翌日彼女の住む宿舎へ向かいました。
帰国するよう説得です。大きなポイントは2つ。
- なぜ彼女だけ帰国で、BとCは帰国しないのか。
- 帰国後の保証金は返ってくるのか。
これがネックですが説得するしかありません。
どこで説得するかもポイントです。
- 包丁が無いことを確認する。厨房も避ける
- ベランダ、玄関の側で話をしない。話の途中で逃げられる可能性がある。
説得にかけられる時間は3時間のみ。
なぜなら帰国便をすでに予約・発見済ですのでやるしかありません。
1時間ほどで説得完了。
企業の担当者が付き添ってくれましたが、説得は私一人でした。
- 保証金には手を付けないよう派遣機関の社長には伝えておく。
- BとCも帰国させる事を口約束しました…。
嘘をついてしまいましたが仕方ありません。帰国させなければなりません。BとCの在留カード期間更新のため、たまたま回収していたんですよね…。これを見せたらAは納得してくれました。
ちょっと危険なのでドアが片側しか開かないワゴンをレンタルして空港まで運びました。
今回は一人であたりましたが、このような手合は必ず2名以上で説得し派遣機関の駐在員がいる場合は、必ず来てもらいましょう。その方が説得も楽です。