本当の意味で技能実習生と日本人の賃金が同等になる時…制度が崩壊?

『参考様式1-16 技能実習生の報酬に関する説明書』

この文書を作るために頭を抱えられている方も多いと思います。
技能実習生と日本人の賃金に開きがあるものの、ここ2,3年どんどんその差が縮まっていますね。毎年、最低賃金が各都道府県20円以上上がっていますね。東京、神奈川、埼玉、千葉のアルバイトの賃金は3,4年前までは最低賃金よりも50,60円高かったものですが、今ではほとんど差がありません。

日本人社員、アルバイトの賃金はほとんど上がらず、技能実習生の賃金が上昇し追いついてしまう。


追いついてしまった場合、どちらに価値が有るのか?

  • 日本語も通じない外国人と日本人が同一賃金なのはおかしい。だったら日本人を雇う。
  • 日本語は通じないけど、休まず3年間しっかり働いてくれる外国人が良いのか。

技能実習生が大活躍している職場においては、2番めを選ぶ企業が多いのではないでしょうか?外国人技能実習生、日本人の時給が同一となった場合、組合監理費、派遣機関への管理費を含めたら圧倒的に外国人技能実習生を雇う方がコストがかかります。

この時になって初めて、

「よし!日本人を雇おう!」

となるのか?

多分、ならないと思います。現在人手不足で悩んでいる業界を見ると、時給がちょっとやそっと上がるだけでは日本人の雇用が増えるような職場環境、職種ではありません。

現在、私が担当している企業において、外国人技能実習生と日本人のアルバイト・パートの時給が逆転しています。実習1年目は最低賃金からですが、1年毎に時給が50円ずつ上がっていく仕組みです。2年目、3年目になると新人アルバイト・パートの時給を超えてしまいます。

縫製、建築や農業、水産加工など失踪者の温床となっている職種は、最賃が上がり続け、技能実習生と日本人職員の賃金が同一になったら、実習生を雇うメリットはなくなりますね。更に監理費なんて払いたくないに決まっています。だったら、最賃にちょっと上乗せして日本人を雇ったマシ。でも、集まらない。

こうなると潰れる零細企業が続出するはずです。

悪質な経営者ですと、実習生を受け入れる度にキックバックをもらっている輩もおります。逃げても良いから小遣い欲しさに実習生を受け入れる輩もいるでしょう。

技能実習生の賃金上昇からの制度崩壊につながるか?

近い将来、ある程度余力の有る企業でないと技能実習生を受け入れられない現象が起こるかもしれませんね。

大手企業、中企業なら受け入れられるけれども、小規模企業、零細企業では受け入れる余裕がない。

日本人がすぐに辞めてしまう零細、小規模企業は事業継続が困難になり、中規模以上の企業が肥え太っていく…。

更に厳しくなるのが我々監理団体でしょう。安かろう悪かろうで技能実習生を雇用していた企業の受け入れがなくなり、零細建設業ばかりに実習生を送り込んでいた団体も倒産に追い込まれるでしょう。

発展途上国が豊かになったり、派遣国の人材が枯渇して技能実習制度が廃れていくよりも、技能実習生の賃金上昇により、受け入れが減少し廃れていくほうが先のような気がします。


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