外国人技能実習生の入国審査を外国人技能実習機構に丸投げしている状況っておかしくない?

外国人技能実習機構の役割と立ち位置が今だによくわかりません。
不正行為を行う監理団体や企業が無くならないから、法改正をするだけでなく、審査機関(外国人技能実習機構)を増やして、審査そのものを厳しくする。更に受け入れ後は機構が企業や組合に立入検査をして不正行為を取り締まるという形です。

立入検査に関しては、まだ新制度が始まって間もないために、彼らも活動をようやく始めたばかりなので、その立入検査がどんなものなのかはまだわかりません。3月、4月と新制度の資格を得た実習生が増えてきます。その時になって突然押しかけてくるのでしょう。

今現在非常に気になるのは、彼らの書類審査です。
制度が変わったばかりで書類にも慣れていないし、ある程度手探り状態なのか、実習生の資料のフォーマットも昨年12月、1月ごろは頻繁にアップデートされておりました。まあ、これは人間なので仕方の無いことでしょう。

しかし、今更ながらに気になり始めたのは彼らの言う「技能実習計画認定」です。まず、機構に様々な資料を提出して技能実習生の受け入れ認定、あるいは期間更新、資格変更の認定を受けるというものです。機構で認定を受けてから、入国管理局に入国申請、在留カードの更新手続きをしてもらいます。※機構へ資料を提出する前に、JITCOで書類のチェックをしてもらうサービスもあります。

旧制度においては、通常多くの企業さんがJITCOの賛助会員なので、そこでチェックをしてもらって入管へ上げてもらいました。入管が技能実習計画等様々な書類をチェックしてから、在留資格認定証明書、在留カードの更新を行ってきました。

つまり、現行制度の「技能実習計画認定」とは、旧制度の入国管理局による入国申請または日本に滞在している技能実習生の更新申請とほとんど同じなのです。また、法律においても入国管理局が仕切っていた「技能実習制度」を、新制度においては技能実習制度をそのまま「技能実習生法」としてスライドしました。

入管が行ってきた具体的な審査を、名目上認可団体とされる外国人技能実習機構(厚労省の天下り団体)に丸投げしてしまったわけです。入管は機構から上がってきた認定証(+数種類の資料)さえあれば、在留資格認定証明書も新しい在留カードも発行してくれます。

日本の治安、日本国民の安全のためにも、外国人の入国や期間更新はしっかりと国が管理するべきなのに機構に委託している。国家安全保障としていかがなものか・・・どころか絶対に危険であるとしか思えません。

外国人技能実習機構は厚労省の天下りであり、そこで働いている輩たちも「自分たちは厚労省の職員です」と私の目の前で言ってくれました。公務員の意識が強く、監理団体の認定申請を提出した組合さんはすでにご存知たと思いますが、団体監理型の認定部門にいる居丈高な女性職員なんてのは、典型的な公務員体質を有しています。

公務員だから入国の審査を任せてもいいではないか?

と、安心できません。彼らは厚労省です。法務省の人間ではないのです。彼らが重きをおくのは受け入れ職種が間違っていないか、受入企業が実習をするに相応しい環境を整えているかに重点を置いています。

機構が果たして過去に不正行為を働いた組合、企業を把握しているのか全くわかりません。入管であれば、過去の記録はきちんととってありますし、脛に傷のある団体は申請できなかったり、申請を却下されました。しかし、外国人技能実習機構は入管的な視線を持ち合わせているか不明であり、企業、組合の過去の不正行為等に頓着せずに許可を出してしまう可能性があります。入管が最後の砦として書類を厳しく審査してくれると信じたいのですが、「機構がOKを出した書類だから」と言って簡単に在留資格認定証明書を発行してしまうケースも考えられます。

そもそも、機構の成り立ちだって怪しいのです。法務省と厚労省が利権争い(天下り先確保)をして、厚労省が勝ったのが現在の機構なのです。実務の効率さ、民間へのサービスを充実したものにすることを考慮すれば、法務省の人間や書類審査のエキスパートであり制度を熟知したJITCOの人間も混ぜるべきであるのに、ほぼ100%厚労省の人間が占めています。

過去の記事で触れたように、機構は失踪者を出さないようにする、日本の治安を預かる者の一員であるという意識がありません。工業包装が2年目から木箱包装になれば、木箱の設備を持たない受入企業は技能実習生を途中帰国させねばなりません。介護においても、日本語検定N3に合格しなければ実習を断念せねばなりません。彼らはおとなしく帰国するはずがありません。

失踪者を増やすお手伝いはするけれども、失踪者が増えたところで、マスコミや国民から非難を受けるのは企業や我々組合なのです。国民、マスコミからの非難の的となるのは我々民間人であり、機構は存在意義すら疑問視されず、攻撃もされない。

実習生がたくさん入国してくれたら、機構は手数料を企業からふんだくれる。リスク無しにお金稼ぎができる。

胴元が損するルールなんてこの世に無い。

制度を作った政府とそれにぶら下がっている地方自治体(職業能力開発協会)、その他業種団体共らが得をする制度になっているのです。我々組合や受入企業さんは、機構あるいは入管、労働基準監督署に鵜の目鷹の目で「不正行為をしている奴はイネエガー?」と見張られており、法律をちょっとでも破ろうものなら法的に処分されてしまいます。

しかし、制度そのものの歪みにより生じた失踪を始めとする外国人犯罪の増加に対して、外国人技能実習機構や入管は一切責任をおいません。偽装難民にも関わらず、難民認定してしまうのが今の入管なのです。

外国人移民や技能実習生受け入れに反対するのであれば、企業や組合の不正行為、人権侵害だけにとどまらず、上記のような角度で批判していくことも必要です。

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